夏は来ぬ  鈴木千登世

五月のこの時期に待たれるもの。


3日前、空が白み始めた頃、心待ちしていた声が夢うつつの枕元に響いてきた。

オッキョキョキョキョ……、オッキョキョキョキョ……

時鳥。

南から渡ってくるこの鳥の声を聞くと、夏が来たことを実感する。


夏の鳥として、時鳥は古くから詩歌に詠まれてきた。『万葉集』には153首、『古今和歌集』は42首、『新古今和歌集』は46首が載っている。『枕草子』ではその声を人より早く聞きたいと起き出して待っている様子や声を求めて賀茂(かも)の奥に車で出かけたエピソードが記されていて清少納言の「ほととぎす愛」が伝わってくる。

時鳥、不如帰、杜鵑、子規、とさまざまな漢字が当てられ、田長鳥(たおさどり)、妹背鳥(いもせどり)、卯月鳥(うづきどり)などの別称も多いほととぎす。「てっぺんかけたか」や「特許許可局」という聞きなしも有名だ。

古くから人の生活と密着して、親しまれていた鳥だとわかる。今はどうだろう。



ほととぎす嵯峨へは一里京へ三里水の清滝夜の明けやすき 与謝野晶子


夏の朝の爽やかな気配が感じられて好きな一首。


「時鳥」はほととぎすの声が田を植える時を告げるということで当てられたという。近所の田には水が入り、早苗の揺れる田も増えてきた。街路樹の湧き立つ緑がまぶしい。空も春とはどこか違った青さ。



夏が来たんだなあ。


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ユリノキに花が咲いていた。チューリップに似ている。



あかつきの夢に来鳴けるほととぎす夏告げ鳥のくきやかな声


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Commented by minaminouozafk at 2018-05-17 22:14
街中では聞くことが無い、ほととぎすの声。あぁ、思い出すと俄然、山や森に行きたくなりました。
木々の深かいところから反響するような声。今は、記憶の奥から引っ張り出して我慢します。E.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-17 22:36
福岡県でも宗像の我が家では今年も何度かホトトギスの声を聴きました。トッキョキョカキョクの声をきくと、夏が近い感じがしますね。ユリノキの花の写真、まだ実物を見たことが無いので嬉しく見ました、有難うございます。A
Commented by sacfa2018 at 2018-05-18 01:31
わが家は山のふもとのマンションなので、色々な鳥の声を聞きます。青空に響くあのカ行音鋭い、リズミカルな声を聞くと、ああ、夏が近いなあと実感します。夏告げ鳥、納得です。S.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-18 07:20
今年は鳥の声が少ない感じがします。山雀や四十雀は元気ですが、鶯は春先だけ谷渡りは聞いてないような…時鳥はまだまだ。自宅では滅多に聞けないです。鳥の声での目覚めって気持ちいいですね。 N.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-18 08:12
春を告げる鳥、夏を知らせてくれる鳥に囲まれての暮らしが羨ましいです。小中学生の頃の「チョットコイチョットコイ」のコジュケイの声を聞きながらの通学路を思い出しました。Y.
Commented by minaminouozafk at 2018-05-20 00:32
今年も渡ってきてくれました。親しく聞けるようになったのは今の家に引っ越してから。古典でたくさん詠まれたホトトギス。現代短歌の作品を探しています。Cs
by minaminouozafk | 2018-05-17 12:40 | Comments(6)