2018年 04月 19日
青海波 鈴木千登世
以前に父方の祖父が漁師だったと書いた。母方も山陰の出身で海とはゆかりが深い。夏休みは決まって祖父母の家を訪れ海で泳いだ。山陰の海は磯が多く、岩場をたどりつつ、なぞりつつ泳ぐ。油断していると波に弄ばれ、岩にぶつかってしまう。波の動きを予想しながら岩の間をゆるゆると泳いだりもぐったりして、飽きると岩にのぼってひなたぼっこしていた。
「青海波文」という海の波のうねりをかたどった伝統模様がある。
「同心円の弧を鱗状に並べた日本の文様。古墳時代の女子の衣服に描かれ、平安時代の十二単の裳や小袖に用いられた。まだ舞楽の『青海波』の衣装にも使われたため、この名があるといわれる。(後略)」『ブリタニカ国際大百科事典』この青海波文に似た幾何学的な波の模様は中国や、中央アジアにも見られるという。
『源氏物語』の中に18歳の源氏が、朱雀院行幸の試楽(リハーサル)として頭中将ともにゆったりと袖を振りながら舞楽の青海波を踊る印象的な場面がある。そのことについて調べていたとき、ネットで「青海波」を検索したところ思いがけずブロック塀の模様にヒットした。
このような模様をご覧になったことはないだろうか。
ブロックのような無機質なものにまで「青海波」というゆかしい名の模様を入れて海を表さずにはいられない、この国の、海へのあこがれを思う。しかもこの「透かしブロック」(と呼ばれるらしい)のデザインにはさまざまなバリエーションがあって奥が深いのである。(たくさんの画像が紹介されていて驚くばかりである)影響されて、街を行き来する度に目が止まるようになってしまった。
海の国日本にあればうすずみのブロック塀に寄る青海波
ちーさまの評論の場、力作でした。脱帽です。E.
英子さんありがとうございます。ほっとしました。Cs