2018年 03月 01日
くしゃみ 鈴木千登世
先週の土曜日のこと。朝からくしゃみがとまらない。
山ももわっと霞んで見える。
氷点下6度まで冷えた今年の冬。いつもの年より寒さが厳しく春が遠く思われたけれど、ここ数日で一気に温かくなった。
すると間髪入れず目や鼻がむずむずして、くしゃみが続く。
土曜日から急に症状が出たと職場も花粉症や黄砂の話題で持ちきりである。
……花粉と黄砂の季となった。
ところで
矢野京子さんの歌集『涯の空』に黄砂を詠んだ歌がある。
冷蔵庫に卵睡りて昼ふかし視界十メートル暗く霾(つちふ)る
白粥の眩しさ黄土大陸より運ばるる砂窓おほふ日に
車駆る子とわれの小さき空間を残して黄砂野山を覆ふ 『涯の空』
「霾(つちふ)る」と言う言葉をこの歌で初めて知った。
「大風がまきあげて降らす土ぼこりが、あたりをうずめるの意を表す。」(『廣漢和辞典』)という。
「黄砂」は舞い上がり霞むイメージだけれど「つちふる」は砂が音もなく降り積もるさまが見えるようだ。冷蔵庫に睡る卵と暗く砂の降る昼。閉ざされた空間にかすか漂う不安といったらいいだろうか。独特の詩的雰囲気に強く惹かれる。
さて、今日から3月。昨夜からの雨風が続いて外はまだ風が強いけれど、春は着実に近づいているようだ。
口呼吸すればざらめく感じあり無人駅舎に砂の降る昼
ちーさまに辛い季節がやって来ますね。
私も以前酷かったのですが、漢方薬を飲み続け体質改善したみたいです。E.