2018年 02月 18日
春よ来い 大西晶子
1.春よ来い 早く来い あるきはじめた みいちゃんが赤い鼻緒の じょじょはいて おんもへ出たいと 待っている
2.春よ来い 早く来い おうちのまえの 桃の木の 蕾もみんなふくらんで はよ咲きたいと 待っている
ある日この歌のことが気になり調べた。作詞は相馬御風。(1883~1950)歌詞中のみいちゃんは、御風の長女ふみこらしい。「歩きはじめた」ので、1歳前後だろう。桃の花を仰ぐ赤い鼻緒の草履の幼子を思い描くと、〈みいちゃん〉への御風の思いがよく分かる。
これまで相馬御風のことを知らなかったが、白秋などと同時代の詩人で、歌人。早稲田大学校歌の「都の西北」ほか多数の学校の校歌を作詞している。また良寛研究者の第一人者だったという。
糸魚川市では御風を顕彰する短歌大会が開かれているということも知った。歌を詠む者なら当然知っておくべき人だったのだろう、勉強不足を反省する。
屋根の雪しきりに今日はしづれ落つ春のぬくみのきざしたるらし
相馬御風
しめやかに濡れたる朝の砂はまに一すぢ長くつゞく足あと
若草のなかにまじれるつくしんぼつくづく見ればいとしかりけり
二ヶ月になりしユウタに「春よ来い」うたへば庭でつばきが笑ふ
晶子
濃密な時間を感じます。ユウタくんの快癒を願っています。E.