2017年 12月 10日
県境
次女の出産の手伝いに来て10日ばかり経った。
次女の住居からは歩いて五分程で多摩川の川原に行ける。中原区のこのあたりには住宅とマンションが密集していて、木や草が少ないが、川原までいくと広々とした空間と空が気持ちいい。
思った以上に広い川原は近くに住む人だけではなく、遠くからもスポーツの練習場として人が来るらしい。土日はとくに多いようだ。
野球、サッカー、アメフト、ジョギングなどなど、スポーツの種類はさまざま。加えて散歩をする人たちの多いこと。
川のながれは東京側に寄っているので、川崎側からは見えにくい。
冬の晴れた朝の空気は冷たいが、歩いて熱くなった身体には気持ちいい。
川原は堤の上の道路よりかなり低いが、階段がそこここに有り、便利だ。
丸子橋を渡り、東京側に行く。橋の中央あたりで<東京都大田区⇔神奈川県川崎市>と書く県境の札の前を通り過ぎる。
欄干に寄り下を見ると、透きとおった多摩川の川面に橋の影と泳ぐ水鳥の点々。
橋を渡り終るとすぐ左手に多摩川浅間神社の鳥居がある。
階段をのぼり、上の鳥居をくぐると、楓のもみじが燃えたつばかり。
多摩川浅間神社は、源頼朝の無事を祈り北条政子が正観世音像を祀った地で、八百年ほどまえに建立された田園調布の氏神様だという。ご祭神は木花咲耶姫命。縁結びの神社として人気があるらしい。
というわけで、ここの絵馬は普通の五角形のものとハート形のものが仲よく下がっている。
この神社は古墳の上に建ち、神社境内から多摩川がよく見える。晴れた日には富士山が見えるとも聞いたが、この日はよく分からなかった。
御神籤をひいてみると、他のことはたいてい遅れても叶うらしいのだが、学問のみは「あやうし」。そういえばこのところ歌に身を入れてないなぁ、身におぼえが大有りだ。
ちょっとしゅんとしたところで、そろそろ戻ることにする。
多摩川駅の近くで帰りに買った、焼きたての餡入り〈鮎焼き〉がまだ暖かいうちに次女の家に帰り着いた。
ねぐらさす五位鷺ならん夜の窓をぎやつとひと声過ぎてゆきしは 晶子
先ずは、ご自身のお身体をお大切に。E.