2017年 11月 29日
「現代文」収載短歌Ⅲ 有川知津子
ああ、まだ閉じている。
これまで、現代文の教科書(第一学習社)の「短歌と俳句」の単元のことを、二度書いた。
今日は、「犬」「猫」「蝶」「走る・歩く」「飲む・食う」という五つの章のうち、
順番どおりに「蝶」の章をご紹介しよう。
姫蜆蝶(ひめしじみ)のツートンカラーの触覚が人の気配を確め始む
真鍋正男
幾十のからす揚羽のとぶ宙(そら)を夢と知りつつ夢みてゐたり
島田修二
春潮(はるしほ)のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず
坪野哲久
生きながら針に貫かれし蝶のごと悶(もだ)へつゝなほ飛ばむとぞする
原阿佐緒
歌の下には、姫蜆蝶と揚羽蝶の写真が載っている。
この「姫蜆蝶」の歌に出合ってからというもの、
白いビーズと黒いビーズを交互に綴ったような蜆蝶の触角を見るたびに、
「ツートンカラー」という語が思い浮かぶようになってしまった。
自分なりの言葉で眺めたい、と思いつつ、
真鍋の語が浮かんでくるのを面白がっていないこともない。
ヒメシジミの生息は、
国内では北海道・本州の山地高原、それも西日本では中国山地にかぎるという。
このあたりでよく見かける蜆蝶、触覚がツートンカラーの蜆蝶はなんというのだろうか。
容赦なし明日よりはもう十二月鉄棒に身を乗り上げながら
(*1日フライング……)
――いつのまにか、もうみんな開いていた。
ヒメシジミ、調べました。ツートンの触覚と開いた羽根のシックな色合いも素敵。このあたりのツートンは、ルリシジミでは。
高校生に阿佐緒の歌!!これも佐佐木幸綱さんでしょうか、さすがです。E.
ほかにも記事を読んでくださった、かつての蝶少年少女から情報のご提供をいただきました。「ヤマトシジミ」というのだそうです。「るり」も「やまと」もかわいい。 お読みくださってありがとうございます。
早苗さんも書いてくださったけれど、原阿佐緒の歌、軽いおどろきです。高校生のときに授業で学びたかった~。Cz.