2017年 11月 01日
「現代文」収載短歌Ⅱ 有川知津子
先週、「現代文」(第一学習社)収載の短歌から「犬」の歌を紹介した。
今日は、「猫」の歌の4首をご紹介しよう。
「猫」とは、断固として十二支に所属しないがゆえに、
オールマイティの地位に鎮座している、あの毛のモノをいうのである。
(漱石の作物を略していう場合にも使われる)
見わたせば、歌人に猫好きは多い。
「猫の歌には弱いね~」という選者も棲むなる歌壇である。
そんな「猫」であるから詠まれた歌の数はしれず、
もし、近現代短歌集「猫」編などというものが編まれようものなら、
いったい何巻本になるか。
つまり、言いたいのは、この教科書の4首が、いかに厳選かということ。
猫のひげ銀に光りて春昼のひとりの思ひ秘密めきたる
小島ゆかり
やがて発光するかと思うまで夕べ追いつめられて白猫膨る
永田和宏
朱の壺に漆黒の猫迫りゆき事のおこりは何げなかりし
富小路禎子
頸つかみ猫の子みれば両の眼にわれをうつしてまばたきをせり
筏井嘉一
このラインナップ!
ここには、北原白秋画伯の白猫がふさわしかろう。
〈白秋画、岩波版白秋全集より〉
* * *
ひとり子の微熱やうやく去りし春 祖母は老いたる猫を撫でたり
白秋画は一筆箋での「思ひ出」の黒猫が有名!?ですが、白猫もイイ~。ちづりん、ありがとー。E.