2017年 10月 20日
小島なおさん、来福!(ふくおか県民文化祭短歌大会) 大野英子
以前、当ブログでふくおか県民文化祭短歌大会の準備を書きましたが、先週10月14日、ついに開催。
筑後地区のスタッフは午前9時から、10時前には全員シティプラザ「久留米座」に会場入りし、皆さまをお迎えの準備。
13:00いよいよ開会。
主催者、御来賓の皆さま、選者紹介、御挨拶に続き授賞式。
そして、選評。

選者は県歌人会会長、中本吉昭氏、副会長、植村隆雄氏、栗林貴美子氏、吉保佳子氏に、われらが藤野早苗さん、小島なおさん。
今年は応募総数902首。
沢山のご応募をありがとうございました。
その中から二首、なおさんが選ばれた作品から紹介します。
なおさんは選歌のポイントとして、「実感を一つのキーワードとして、一首の裏側に作者の生活の息遣いや、身体感覚が肉付けされている歌を選びたい」と、まさに「生の証明」宮柊二の系譜のお言葉。
福岡県知事賞であり、なおさん特選天賞。
一年の老いを重ねて年一度カバンをさげてくる調律師 春日市 間千都子
〈ピアノの調律師だろう。念に一度しか来ない調律師に感じる老いはまた、相手の姿を翻っての自分の老いの姿でもある。来る人が変わらない「調律師」が動かし難く効いている〉
間さんは、8月にこのブログで紹介した歌集『結びなおして』の作者です。
文化祭高齢者賞、なおさん特選人賞。
花の季に十四人目の曾孫生れ永く生きゐる喜び深し 朝倉市 岩本光子
〈先ず家系図を思い浮かべたときに、作者は一本の木の幹のようだというイメージが浮かんだ。「花の季」と言うとき、開いた花ひとつひとつが14人の曾孫のようで笑顔をひろげる作者が花を包む一本の木のように感じられ、景の大きな歌〉
女性部門では85歳以上が対象。岩本さんは舞台の裾までは、ご家族に伴われ車椅子で来られましたが、壇上にはご自身でしっかりと歩いて来られ、賞状を受け取られました。
なおさんは他にも不思議な世界観、ユーモアのある歌を多く選ばれていて、温かな選評のなかにも、本質を突く斬新な捉え方は大いに参考になりました。
もう一首、早苗さんの批評から、ふくおか県民文化祭実行委員会長賞であり早苗さん特選天賞の作品を。
バンダナの妻は赤猪子若菜摘む手足を春の泥に汚して 北九州市 中村重義
〈古事記の雄略天皇と赤猪子を下敷きにした一首であり、野辺で若菜を摘む妻はいくつになっても初々しい赤猪子そのものであるという、読者がほのぼのとする歌であり、歴史的な厚みもあり、それを踏まえつつバンダナという現代的な言葉も詠み込まれ面白い〉
どの作品も、まさしく実感、作者の息遣いの感じられる作品ですね。
全体的に見ても、作者像が浮かんでくる作品が多く選ばれていました。
そして、休憩を挟み、会員数と会費納入状況について事務局よりのお知らせ。
現在会員数655名、本年度の入金率は65%。
福岡在住の皆さま~、未入会の方は是非入会を、会員で未入金の方は入金を、どうぞよろしくお願いいたします。
15:00いよいよ小島なおさんの記念講演。

わたくしが、簡単に講師略歴を紹介させて頂きました。
普段、見た事のない笑顔で紹介していた、と後ほどお仲間から言われましたが、なおさんの笑顔は伝染るんです(古!)
なおさーん、コスモス全国大会の折にしつこく取材してゴメンナサイ。
おかげさまで、若い方達へ向けたイベントや小中学生への短歌授業など、コスモス会員でも知らない、短歌の裾野を広げるための多くの活動をご紹介出来ました(感謝)

「短歌の窓」は現代短歌の最前線として、結社、年代も違う最新歌集を四冊挙げ、どこからでも短歌の窓は開いているよ、という気持ちを持っての演題です。
小池光『思川の岸辺』、吉川宏志『鳥の見しもの』、鳥居『キリンの子』、馬場あき子『混沌の鬱』より、
少しだけ紹介します。
小池光氏の作品は多くのことを語らず、気負いがなく日常の延長で詠まれていることを、小島家のエピソードも交え、短歌は短い詩だが何年も何十年も寄り添ってくれる詩形なのだと、小池氏の作品から詠って行くことの素晴らしさを感じ感動したことを、楽しく解説。
鳥居氏の作品からは、斉藤茂吉の「写実を極めてゆけば象徴に至る」という言葉を挙げ、裏に隠されたメッセージを、優れた描写の力は感じさせてくれることを伝えてくれました。
常に笑顔を絶やさず、あっという間の60分。天性の話術力を感じました。
講演詳細は、次回発行の県歌人会報38号に掲載いたします。(会員の方にお送りします。未入会の方は、お急ぎ入会を~)
今回特筆すべきは、小島なおさん来福を聞きつけて、短歌未経験者の若い方達50名ほどが、講演を聞きに来てくださった事。若い力は素晴らしい!歌人人口増加を期待したいですね。

恙無く終了後、南の魚座福岡メンバー包囲網で恒例の一枚(おや、また一人足りない…)


男性陣は、鼻の下伸ばしっぱなし。全国のなおさんファンを敵に回したぞ~。

場所を変えての、懇親会は、会場と西鉄久留米駅の中間点にある「料亭魚よし」
魚尽くしのお料理を楽しむ「下戸同盟」代表、藤野早苗さん。

皆さんのテーブルを積極的に廻って、役員をねぎらってくださったなおさん。最後のご挨拶も疲れを見せず笑顔、笑顔。

参加者全員で記念写真。ご来賓の隈智恵子さん、青木昭子さん、中島行矢さん、他、最後までお付き合いくださりありがとうございました。役員全員、安堵の笑顔です。

終了後は、空港行き高速バスの発車時間までお茶を飲み、南の魚座メンバーで乗車までお見送りいたしました。なおさん、最後まで素敵な笑顔をありがとう。
余談ですが、今日は父の誕生日。生きていれば93歳。
なおさんの母、小島ゆかりさんの大ファンだった父は〈歌人小島なお誕生〉の時、本当に喜んでいた。
今回、福岡にお呼び出来たことも、心から喜んでくれているだろう。
スポットライトの下のてのひら祈るやうまた舞ふやうに語りはじめる
白き手がひらりと笑みを零しゆく鼻濁音まどかに抜けてゆくひと
選者のみなさまの選評、なおさんの講演、とても勉強になりましたし、なかなか会うことのない他結社の方ともお話しすることができましたし、いいこと尽くめの一日でした。なおさんの笑顔、いいですよね~。ご報告、ありがとうございます。Cz.

