2017年 10月 02日
蘇鉄の花 百留ななみ
たしか小学校の体育館のまえにこんもり茂っていた。
お寺の境内でも時々見る。
よく見ると近所の個人の家の玄関のそばにも。
忌宮神社にも石段の左右にあるのは以前から知っていた。
拝殿から石段を降りようとしたとき、左の蘇鉄の葉の真ん中にバレーボールのような球体が見えた。
よく見ると4個あるようだ。なんだろうと思いつつ右手の蘇鉄を見るとこちらにも白い球体が2個見える。
石段を降りて近づいてみる。花かもしれない。
たしか蘇鉄は公孫樹と同じ裸子植物。
どちらも古生代から現れているもので生きている化石といわれる。
葉っぱは巻いた状態であらわれ、大きなシダのようだ。
大きなシダやソテツの森を闊歩する恐竜たち。
茎の先端の不思議な球体は恐竜の卵のようでもある。
調べてみるとこの球体は雌花らしい。はじめてお目にかかる。雄花はパイナップルを長くしたような花。石段の左右はどちらも雌株のようだ。蘇鉄の花は10年に1回とかしか咲かないらしい。
雌花はそのあときれいな赤い実となるようだ。
宮英子の西域更紗の巻頭に
あかねさす日いろの蘇鉄の実の一顆手草となせば潮の音はろばろ
宮英子『西域更紗』
とある。蘇鉄は暖かい海沿いに自生するようだ。奄美地方では、この赤実を晒して毒抜きをしてデンプンとして食用としていた。いまでも島の急斜面にたくさん見られる。
海に近い長府でも庭木としてむかしから植えられていたのだろう。棕櫚もあちこちの庭にある。子供のころから庭に植えられている蘇鉄や棕櫚には違和感があった。
これからしばらく赤い実チェックをします。でも近くに雄花がないから実はならないのでしょうか。
数多くの日本三大○○があるが、蘇鉄にも日本三大がある。能満寺の大蘇鉄(静岡)、龍華寺の蘇鉄(静岡)、妙国寺の蘇鉄(大阪)みたいですが、大分県日出町の松屋寺には日本一の大蘇鉄と石碑があります。
そのひとつの龍華寺の蘇鉄は、ちゃっきり節に登場しています。ちゃっきり節は30節まであってその25節。
おまへ龍華寺蘇鉄の花よ
いつか忘れた、ほろと忘れた頃に咲く。
ちゃっきり ちゃっきり ちゃっきりよ、きやぁるが啼くから雨づらよ。
作詞 北原白秋
ちゃっきり節の作詞が北原白秋とは知りませんでした。忘れた頃に咲く蘇鉄の花を取り上げてくれているなんてなんだかうれしいです。
恐竜のたまごみたいに膨らみて蘇鉄の雌花は空をみてゐる
ななみ
ちゃっきり節誕生秘話は以前テレビで紹介されていました。鉄道会社だったかな、静岡県アピールのための民謡を白秋に書いて欲しいと、相当粘ったそうです。E.
日本三大に蘇鉄もあるなんて楽しい。赤い実がたのしみ! Cz.
島津藩に潜入した御庭番が蘇鉄の根っこに平打ちのかんざしを挿してきたという、時代小説を読んだことがありました。御庭番の報告だったのかしら?赤い実、見たいです。楽しい話題をありがとうございます。 A