2017年 06月 12日
トンネル 百留ななみ
そのさきに光があるからトンネル。洞窟ではない。
息子たちは砂遊びが大好きで、砂をしっかり水で固めてトンネルを貫通させるのに夢中になっていた。小さなトンネルが長府の覚苑寺の裏にある。息子たちはおばけトンネルと呼んでいた。大人は一人ずつ屈んで通る。
久しぶりの覚苑寺。裏の墓地の右手、おばけトンネルはそのままだ。せっかくなので、一人で通ってみる。短いトンネルだがカーブしているので途中まで光が見えない。足元も真っ暗。ドキドキしながらゆっくり進む。
出口の光が。足元も壁もおぼろに見える安堵感。このごろ忘れていたたいせつな感情。
下関には対岸の門司をむすぶ関門トンネルがある。高速道路は関門橋だが国道は海底トンネル。その真下に人道トンネル。
対岸の和布刈まで15分ほど。 観光客、ウォーキング、校外学習の中学生と賑やかだが、なんだか息苦しい。海水が入ってきたらと想像して、ついつい早足となる。
エレベーターで地上に出ると思わず深呼吸する。地下鉄もない地方に暮らすからだろうか。
方向感覚がわからなくなる広い地下街、街を俯瞰する高層ビル。土木建築のスキルはすばらしい。おしゃれな照明、音楽のなか、たくさんの人が集うスノッブな空間は心地好い。
独りっきりの光も音もない地面の下。まるで黄泉の世界。光を見つけた時のよろこび。
たぶん暗闇が怖くない人はいない。
目を瞑ったままでできること。
無心で瞑想する時間。
隧道のむこうの光。
水無月の小さき隧道その先のひかりへ一歩一歩すすめり
ななみ
最近、博多湾以外の海を見てないな~。心が洗われるような写真をありがとう。E.