2016年 12月 27日
駱駝柄の… 藤野早苗
なんとなくスマホを開いて、そのままさるオークションページへ。
和服を着始めた頃、着付け小物を買ったり、様々な着物を眺めたり、ネットを徘徊していた時期があったけれど、最近はめっきりネットオークションにはご無沙汰していたのだが。
開いたのは、「紬」のページ。目に飛び込んできたのは、オークション終了15分前の表示のある一着。
結城紬だが、それにしても珍しい柄行きである。深い緑色から茶色のグラデーションで表された砂漠を黒く織り出された駱駝が歩いている。
ああ、もう駄目。
こういうのに弱いのだ。オークション終了まで10分余り。出費多端な年末、しかも今後何年かは毎月避けられないかなりの額の出費が決まっている。迷っている場合ではない、この場はさっさと立ち去って…、と考える頭とは裏腹に、入札ボタンを押す右手人差し指。やってしまった。
結局、何度かの再入札を経て、駱駝結城紬を落札。一旦入札したが最後、勢いで突っ走ってしまうのがネットオークションの怖いところ。だけどこれも何かの縁。少々後悔しつつも、粛々と取引手続きを済ませた。あとは翌日落札金額を指定口座に振り込めば大丈夫。
ネットショップも三連休は店休日。振り込みを終えて4日過ぎた今もまだ、駱駝の着物は届いていない。こののんびり感がいい。あの一枚は、すばしこい黒猫さんや、健脚の飛脚さんではなく、やさしい目の駱駝の背にゆっくり揺られてやって来てほしいと思うから。
漠土ゆく隊商思ふおほぞらをトナカイの橇駈けゐむ聖夜 早苗
✳︎今年最後の記事担当日になりました。8月11日以来、訪問下さりありがとうございました。来る年も毎日更新継続を目指し、精進いたします。引き続きご支援いただきますよう、お願い申し上げます。
きっとよくお似合いですよ。
着物の地の砂漠を隊商がすすんで行き、朝と夕で駱駝たちの位置がひそかに変わっていたりして、、、。 A
来年は砂漠の商隊のように、一歩一歩、しっかりとした足取りで歩みたいものですね。E.