ふくおか県民文化祭2016短歌大会 藤野早苗

10月22日土曜日は、ふくおか県民文化祭2016短歌大会。天神の真中、バーニーズニューヨークの5階のレソラホールでの開催で、雨模様にもかかわらずホールは満員。盛況でした。

講師は、「心の花」の伊藤一彦さん。演題は「短歌のある人生」。若山牧水の恋のうた、自然のうた、旅のうた、酒のうた、ふるさとのうたを引いて、「うたにならないものはない。何も詠むべきものがないという人は、人生を損している。」とお話されたのが心に残りました。

他にも、
・短歌は必ず推敲しないとダメ。そのためには、出来た後しばらく寝かせて、思いが沈静化したあたりで、表現を他者の眼差で客観的に見直す事が大切。
・歌を詠む際には、歌集原稿として歌を考える。そうすると、必然的に連作構成を考えるようになり、発展的に足りない歌を詠み足そうと思うようになる。逆に、以前詠んだような作品は、自己模倣として詠むまいと思うようになる。
・歌集は出した方がいい。そこで一区切りがついて次の世界へ踏み出す事が出来るようになる。
・色々な歌人の作品を読むのもいいが、1人の歌人を徹底して読むのは作歌の糧になる。
・日本人にとって、和歌は宗教的な位置付けだった。だからこそ、古来人は辞世に短歌を詠んだのだ。
などのお話が印象的でした。

予定の1時間をオーバーしての講演、いつもながら、伊藤さんのバイタリティには圧倒されます。人気講師なのも納得。会場は明るい空気で満たされていました。

さて、今大会の最高賞、福岡県知事賞は、筑後市の井寺容子さんの作品
・狼もこぶたも真似ずやはらかなママのこゑして絵本をめくる
井寺さんは、「やまなみ」所属。各種大会の最高賞総なめの歴戦の勇者です。今回も眼差のあたたかさ、特異性で抜きん出ていました。おめでとうございます。

大会終了後、「心の花」のみなさまと「コスモス」会員、そして「ポトナム」の中島行矢さんで、伊藤一彦さんとパチリ。

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楽しゅうございました。

大会役員のみなさま、お疲れ様でございました。ありがとうございました。


伊藤一彦さん繋がりで、もう一件。南の会の「梁」91号が届きました。この歌誌の特徴は文章が多く、しかも全て読み応えがあること。書き手が充実しています。
中でも嬉しかったのは、上村典子さんの時評「蕨のごとく頭垂れ」。コスモスの敬愛する歌人、柏崎驍二さんを4ページにわたって考察して下さっています。柏崎さんは今年の4月15日逝去。熊本地震の最中の事でした。7冊もの歌集を再読したという上村さんの、文筆に対する真摯さに感動し、丁寧な読みと鑑賞眼、なめらかな筆致に感服しました。

・岩手の風土に生まれ、育ち、生きることを選び続けて生き抜いた。拡散ではなく、自己の収斂を貫いたのだと思う。

柏崎驍二さんの生き方をよくぞ読み取って下さいました。ありがとうございました。

コスモス福岡支部より、近日刊行予定の次号「水城」は柏崎驍二特集号です。でも、結社外の方が心を尽くして書いて下さった批評を拝読するといいようのない喜びが湧いてきます。「梁」91号、ぜひご一読下さい。もちろん短歌作品も読み応えあります。

ああ、勉強しないと‼︎

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声太き人に悪人をらぬこと日向一彦見れば思ほゆ          早苗


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Commented by minaminouozafk at 2016-10-25 08:34
県大会、参加できず残念。
伊藤さんのパワーが伝わって来るような報告記、ありがとー。E.
Commented by minaminouozafk at 2016-10-25 12:41
伊藤一彦さんの講演の要点をまとめて下さって、詳しいご報告ありがとうございます。本当に「勉強しないと」ですね。 A
Commented by minaminouozafk at 2016-10-25 20:20
報告記、感謝です! 伊藤さんの講演で、印象が一変してしまった歌がありました。牧水のこの歌です。「なにゆゑに旅に出づるや、なにゆゑに旅に出づるや、何故に旅に」。伊藤さんの声の力でしょうか――。上村典子さんの時評「蕨のごとく頭垂れ」のお知らせをありがとうございます。C.
Commented by minaminouozafk at 2016-10-25 23:17
他流試合といいますか、他結社の歌人のお話は新鮮ですね。S.
by minaminouozafk | 2016-10-25 02:01 | 歌会・大会覚書 | Comments(4)