筑紫歌壇賞贈賞式 藤野早苗

9月25日、日曜日は筑紫歌壇賞贈賞式。運営スタッフ〈しらぬい会〉の一員として、朝から太宰府に出仕。会場設営、受付、パネルディスカッション…とけっこうキツキツなスケジュール。贈賞式終了後は、場所を移しての懇親会。70名超の参加をいただき、大盛会。良かったあ!

と、まあ、1日の流れはこんな感じ。

で、そもそも、筑紫歌壇賞って何?という方のために、ちょっと説明。

ご存知の通り、太宰府は万葉歌の聖地。旅人、憶良が太宰帥として任官し、筑紫歌壇という和歌コミュニティができたことはつとに知られるところ。当時の旅人、憶良がかなりの高齢であったことから、、60歳以上の方の第1歌集の中で優れた作品に贈賞しようということになった次第。このアイディア発案者は、伊藤一彦さん。主催者は、国際科学技術文化振興会理事長の隈智恵子さん。選考委員は、伊藤一彦さん、小島ゆかりさん、そして山埜井喜美枝さん。今年で13回目を迎えました。 

今年の受賞者は、ポトナム所属の中島行矢さん。『モーリタニアの蛸』。福岡から初の受賞者となりました。(画像参照)おめでとうございました。

贈賞式では毎年、第2部でテーマに沿ったパネルディスカッションを行うのですが、今年は、中島作品に倣って「男のユーモアとペーソス」。(このパネルの全文については、福岡文化連盟の機関誌に掲載されるそうなので、そちらにお任せします。)
登壇者は、伊藤さん、ゆかりさん、「かりん」の桜川冴子さん、そして私。伊藤さんとゆかりさんがいて盛り上がらないはずのないパネル。今回も会場盛り上がっておりました。3人の先生方、ありがとう。

で、今回当ブログで紹介したいのは、ペーソス溢れる万葉歌1首。パネルの参考資料として私が引用した作品です。


皀莢(ざうけふ)に延ひおほとれる屎葛絶ゆることなく宮仕へせむ
      高宮王・万葉集巻16/3877

意味:さいかちの木に這い広がるあのへくそかずらのように、倦まず弛まずしぶとく宮仕えするぞ、私は。

ああ、サラリーマンの悲哀全開。高宮王は奈良時代の歌人。万葉集に2首入集。それ以外の情報はないのですが、王というからには王族の一員ではあったのでしょうか。

面白いのは、このうたには別解があって、さいかちはカワラフジノキだから、藤原一門の喩。屎葛はマロカズラ(まるという古語がありますね、とくに福岡は、まりかぶるって今でも使います。)とも読まれ、時の権力者藤原仲麿の喩。本来は臣下の家系である仲麿に頭を下げねばならぬ王族の悲哀として読むと、なんだか鼻の奥がツーンとしてきます。頑張れ、高宮王。そして、世のお父さん。

万葉集巻16は、こういう面白い作品の宝庫です。ぜひ、ご一読いただきたいと思います。

パネルの最後にユーモアとペーソスの歌の可能性について考えました。
私見ですが、人間、きちんと加齢するとだんだん性差がなくなってくるような気がします。それぞれの性の持つ尖ったところが削がれ、男性は内なる女性性に、女性は男性性に目覚めてゆくのかなと思います。平たく言えば、おばさんのようなオジさんとおじさんのようなオバさんになるわけですね。これは楽です。しばりがなくなります。そうした自由なたましいがふっと吐き出す息使いが多分、ユーモアでありペーソスなのだと思います。

そうか、この道もあったなあと改めて思った次第です。


夫と妻面差しかよふ果報かな鶴の千年亀の万年         藤野早苗



忙しすぎて写真撮ってなかった!
受賞者の中島さん、南の魚座メンバー、コスモス福岡のみなさん、しらぬい会の面々、そして伊藤一彦さん、ゆかりさん‼︎
本阿弥書店の奥田洋子社長、本阿弥秀雄顧問、ポトナム代表の安森隆俊氏、ここにアップできなくて、残念です。

みなさま、ほんとにありがとうございました。
また来年、よろしくお願いいたします。
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Commented by minaminouozafk at 2016-09-27 13:06
裏方も表舞台も大活躍の早苗さん、お疲れさま~。微力ながら、今回も盛会の一旦を担うことが出来て嬉しく思います。
主催者の隈さんは、何回迄持つかと思いつつ始めたけれど13回を迎えられた事をしみじみ話されていました。
近隣の方でまだ参加されていないのは、ホントに勿体ない。来年のご参加お待ちしています。E.
Commented by minaminouozafk at 2016-09-27 13:22
英子さん、受付担当ありがとうございます。実務能力0の私、いつもフォローしていただき感謝です。来年もよろしく‼︎ S.
Commented by minaminouozafk at 2016-09-27 15:53
筑紫歌壇賞は名前しか知りませんでした。しらぬい会スタッフとしてみなさま尽力されて素晴らしいです。福岡、熱くて良いですね。来年はぜひ参加したいと思います。N.
Commented by minaminouozafk at 2016-09-27 16:49
ななみちゃん、来年お待ちしてます。もう福岡に住みなさい、なあ〜んて。まんざら冗談ではないけど。S.
Commented by 福士りか at 2016-09-27 20:14 x
万葉集巻16いいですね。私は
「家にありし櫃にかぎさし蔵めてし恋の奴のつかみかかりて」が思い出されます。最近、つかみかかかられていませんけど…。
筑紫歌壇賞、うらやましい活動です。
Commented by minaminouozafk at 2016-09-27 21:05
りかさん、ブログ拝見。おばあさまご逝去、おさびしいですね。いっしょに生きてきた、と書いていらしたのがしみました。ご冥福、お祈り申し上げます。恋の奴、もう何十年もあってませんな。いるのか、そんなヤツ。S.
by minaminouozafk | 2016-09-27 11:00 | 歌会・大会覚書 | Comments(6)