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11月19日の日曜日、山口市民館小ホールで「山口県総合芸術文化祭2017 短歌大会」が開催された。今年は山口市の引き受けということでコスモス支部長の山本さんが中心となって準備が進められた。何度かの打ち合わせ会議、審査会、当日の準備と慌ただしい日々。山本さんや事務局の瀬戸内さんたちは裏方のさらに細々とした作業も重ねられていた。そして、いよいよ当日。


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10時からの開会を前に準備万端の受付の皆さん



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開会式。主催者の歌人協会会長の長尾健彦氏の挨拶と来賓のご祝辞。



続いて、10時30分から池田はるみ氏の講演。前夜は池田さんを囲んで和やかな懇親会が開かれた。初めてお会いした池田さんはふっくらと包み込むような話し方をされる、お傍にいるとほっとするような方だった。あたたかなユーモアと哲学をあわせ持つ素敵な方で、ますます講演が楽しみとなった。

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テーマは「日常の歌」…暮らしとは面白いものではないか。切り取り方によって人それぞれの個性的なものが出てくる。というところから、近年発表された歌人の作品17首の鑑賞を通して「日常の歌」が読み手に及ぼすものに言及された。


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心に残ったことを少しご紹介。

・一番大事なことは場面を描くこと。場面がきちんと描けるとその人の個性が現れる。

・(日常の歌は)それぞれの人が自分の人生の中で得た一瞬が歌われる。(読んだ人はそれぞれ違うことを体験している)その一瞬の「場面」を描くことによって読み手の頭の中にその人のだけの場面を想像させることができる。再構築した場面はその人だけの感動となって響きかえる。

・他人の歌を自分の空間に組み立て直して同じように思った人がいるとのだと思うことは友だちを多く得たような親密さを感じさせてくれる。

・一人ではない、一緒に生きてきた、という寂しくない心をみんなに提供してくれるものが日常の歌。



一首に寄り添うような丁寧な解説で作品の世界を広げてくださる鑑賞と歌を詠み、読むことへの励ましとなる言葉にじんわりするとともに日常のささやかな場面を読んでみたいと意欲が喚起される講演だった。



講演の後は児童・生徒の部の表彰式。

1520首の応募があった中には出前講座として短歌の授業が行われた学校も。自分の言葉で感動が語られ、場面の立ち上がるみずみずしい歌に準備の時から皆さん感動しきりだった。校種別の1位作品を紹介すると


高校の部1位 山口県知事賞

東京に行きたいことを告げたときさみしげな目で父が見つめる           吉村真唯


中学校の部1位 山口県議会議長賞

新しいスパイクのひも大きめに結んで君は白線に立つ               奥さゆり


小学校の部1位 山口県教育委員会教育長賞

しゅわしゅわとあたまがもえそうたんさんすいへいきでのんでるおとなはふしぎ   鈴木里彩



昼食休憩を挟んで、午後からは一般の部の歌会と表彰式。

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選者は上村典子氏、玉木伸尚氏、長尾健彦氏、池田はるみ氏、百留ななみ氏、藤本喜久恵氏。それぞれの方が選出した作品について講評された後は質疑応答が続いた。同じ作品でも選者の読みの角度が違って一首の世界が広がる面白さに充実の時間を過ごした。


山口県知事賞

石垣の石それぞれに顔がある心もあると棚田の農夫       萩市 斉藤 定

山口県議会議長賞

飴色の角の丸まる物差しを妻はときどき孫の手にする     岩国市 弘兼 安雄


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実行委員長の山本寛嗣氏

すみずみまで行き届いた準備、運営。本当にお疲れ様でした。

児童・生徒の部を任されたものの、応募はあるだろうかというところから始まり、何をしたら良いのかわからないままの数ヶ月。いろいろな方のお力添えが本当に嬉しかった。他結社の方とも大会を通じて親しくお話しすることもできた。児童・生徒の部の選者の高崎淳子さんは大学の先輩でもあり、山口に戻られたことが心強い。来年は防府市での開催。今から心待たれる。



子どもより親の笑顔が充ち満ちぬ口角あげてといふ声もして

味噌汁の葱きざみをりこの朝葱きざむ人の丸い背思ひ


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by minaminouozafk | 2017-11-30 09:00 | 歌会・大会覚書 | Comments(7)

ああ、まだ閉じている


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これまで、現代文の教科書(第一学習社)の「短歌と俳句」の単元のことを、二度書いた。


今日は、「犬」「猫」「蝶」「走る・歩く」「飲む・食う」という五つの章のうち、

順番どおりに「蝶」の章をご紹介しよう。



 姫蜆蝶(ひめしじみ)のツートンカラーの触覚が人の気配を確め始む

                          真鍋正男

 幾十のからす揚羽のとぶ宙(そら)を夢と知りつつ夢みてゐたり

                          島田修二

 春潮(はるしほ)のあらぶるきけば丘こゆる蝶のつばさもまだつよからず

                          坪野哲久

 生きながら針に貫かれし蝶のごと悶(もだ)へつゝなほ飛ばむとぞする

                          原阿佐緒



歌の下には、姫蜆蝶と揚羽蝶の写真が載っている。


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この「姫蜆蝶」の歌に出合ってからというもの、

白いビーズと黒いビーズを交互に綴ったような蜆蝶の触角を見るたびに、

「ツートンカラー」という語が思い浮かぶようになってしまった。


自分なりの言葉で眺めたい、と思いつつ、

真鍋の語が浮かんでくるのを面白がっていないこともない。


ヒメシジミの生息は、

国内では北海道・本州の山地高原、それも西日本では中国山地にかぎるという。


このあたりでよく見かける蜆蝶、触覚がツートンカラーの蜆蝶はなんというのだろうか。



  容赦なし明日よりはもう十二月鉄棒に身を乗り上げながら

                (*1日フライング……)




――いつのまにか、もうみんな開いていた。


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by minaminouozafk | 2017-11-29 05:54 | Comments(7)

耳下腺が腫れている。

咳喘息がようやく治まり、滞っていたあれこれを片付けていたら、いきなりのこの事態。

で、今日は、とびきり美しいものをご覧いただいてブログ担当のノルマを果たしたこととさせていただきたい。



11月7日。

古賀市の株式会社西部技研にお邪魔した。西部技研は、ハニカム(ハチの巣状の…の意)構造を有する濾過フィルター「ローター」を開発し、世界的シェアを誇る企業。創業者の隈利實氏は我が国の開発型ベンチャーの先駆者で、その活躍は『サムライベンチャーの流儀』(幻冬舎ルネサンス)に詳しい。そしてその隈氏を支え、ともに起業の道を歩んで来られた夫人(現西部技研会長)が、我らがハンサムウーマン、隈智恵子氏なのである。



周知ではあるだろうが、隈智恵子氏は歌人。『ベンチャーの日日』『バランスシート』『コンドラチェフの波』3冊の歌集を上梓され、筑紫歌壇賞の創設・運営・後援の中核「国際科学技術文化振興会」理事長として活躍されている方である。筑紫歌壇賞運営の組織「しらぬひ会」に加えていただいているご縁で、何かの折にはお声をかけていただいている。



西部技研には、さらにもうひとつの顔がある。


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社屋内に、スウェーデン名誉領事館が置かれているのである。西部技研の技術力への世界的評価は極めて高く、特にスウェーデンとは強い信頼の絆で結ばれていることから、2016年現社長隈扶三郎氏が名誉領事に就任された。



さて、いよいよ本題。

ご堪能下さい。



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スウェーデンをイメージした振袖と帯。

振袖は片身代わりになっていて、上前は夏の風景を、下前は冬を図象化した絵付けが友禅職人の手による見事な蠟纈染で表現されている。国旗のモチーフも忍ばせてあるのだが、おわかりいただけるだろうか。帯は博多織。可憐なスズランとスウェーデンの伝統的工芸品の馬の人形が鮮やかに織り出されている。



2020年の東京オリンピックの際に、出場国をイメージした着物としてお披露目するという企画が進行中で、スウェーデンと親交が深い西部技研は、同国の着物作成のスポンサーの依頼を受諾されたことから、着物完成後、この11月7日一日のみ、社屋内での展示を許可され、そのお披露目にお誘いいただいたという次第なのであった。



このあでやかな企画を起案し、実現したのは久留米の老舗呉服屋「蝶屋」さん。2014年三代目店主の高倉慶応氏が発信したSNSが瞬く間に広がり、外務省、経産省、各国大使館、多くの企業や個人の協力を得て、社団法人「イマジンワールド」を創設、

この「KIMONO PROJECT」を推進してきたということらしい。



「日本」を冠したオフィシャルな機関が音頭をとって事を成そうとすると、あれやこれや、次々に薄暗い何かが出来するのに、自然発生的に上がった声を源にするムーブメントのこの清々しさは何だろう。

西部技研の精緻な技術力とホスピタリティ、そしてイマジンワールドの「結」にも似た豊かな発想力。

ああ、日本は大丈夫だ。至高の芸術作品を前に深い安堵の息を衝いたのだった。




ワルハラの女神(じよしん)に一領献上す大和の粋の粋たるkimono



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西部技研エントランスにて、巨大ローター前で。
同行のみなさまと。
楽しい一日でした。
隈さん、ありがとうございました。



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by minaminouozafk | 2017-11-28 07:53 | Comments(8)




まだまだと思っていた今年の紅葉は急な寒さで駆け足に終わってしまいそうだ。夜が長い人恋しい季節、冬はすぐそこ。


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長府では功山寺の山門の紅葉に合わせて「関門海峡キャンドルナイト2017 第9回彩りの城下町長府」がこの土日に開催された。

日が暮れると真っ暗な城下町の路地、壇具川。川の中まで小さなジャムなどの空き瓶に入った蝋燭がならぶ。水面に揺れる灯。7000個以上の瓶蝋燭。電飾ではない幽玄なやさしい灯火。


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なんだか時空を超えたようでいつもの光景とは全く異なる。地元のボランティアがはじめたものだが、この頃はミニコンサートや飲食のサービスもいろいろあって賑わっている。

受付で500円払い、温かい飲み物とクジ引き券と蝋燭の入った瓶を受け取る。瓶の蝋燭の炎をながめつつ夜の城下町を歩き、さいごに笑山寺まえの大きな木を中心に蝋燭の瓶を置く。たくさんの瓶の明かりでひときわ幻想的。


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風は冷たいが、歩くと気持ち良い朝。いつもは人気のない静かな禅寺も紅葉の今はにぎやかだ。覚苑寺では去年くらいから紅葉や桜のシーズンになると浄財箱が設置される。先週までは自由に入っていたのにと思いつつ、お寺も懐具合もたいへんそうと小銭をいれる。

みんなデジカメやスマホを上向きにシャッターを切っている。山門や本堂あたりは人が多いが裏手の墓地のあたりは誰もいない。



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紅葉を眺めながらゆるゆるのぼる。ぐしゅっと何かが潰れた感触が足裏から。潰れたのはどんぐり。上ばかり見ていて気がつかなかった。あらあら団栗がいっぱい。古い墓地の日陰はみずみずしい緑の苔で覆われている。そこに、紅の葉っぱがはらり。よく見ると白椿の花もある。そばには古い大きな椿の木が。ひとりで嬉しくなって写真におさめる。



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みんな上ばかり見ているから、きっと気づかない。これも同じものを見ているはずなのに見ていないということだろう。そして、みどりの苔には新しい生命があちらにもこちらにも覗いている。寒い冬のまえの小さな芽はほんとうに凛々しくてかわいい。


くれなゐの楓もやうの苔の上どんぐり兄弟どんどん生る





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by minaminouozafk | 2017-11-27 07:32 | Comments(7)

専用器具  大西晶子


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 このところ朝夕が冷え込むようになり、街路樹の公孫樹の葉が黄色くなってきた。もう、銀杏は落ちてしまった後なのだろう。



 先日、知人から英彦山でできた銀杏をたくさん頂いた。これまでにも銀杏を頂くことがあったが、これほど立派なものは初めてだ。


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銀杏の殻の割り方だが封筒に入れて電子レンジにかける、あるいは空いた牛乳の紙パックに入れて電子レンジにかけるというのが簡単だと聞く。しかし実際にはあまり上手くいったことがない。たいてい割れない粒が残り、あとで悩むのだ。

今回も例年同様、やっぱり上手にできない。なにか殻割りの道具はないかしらとネット検索した。するとちゃんとある。世の中には銀杏を割る専用の道具を必要としている人たちが結構大勢いるのだろう。

同時に見つけた銀杏炒り器と一緒に、すぐさまアマゾンで注文した。翌日届いた銀杏割り器はペンチによく似ているが、銀杏を割ってもペンチと違い、実が飛んで行ったりはしない。

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ちゃんと殻が割れて、実がつぶれることも無い。嬉しくなってつぎつぎに剝いては食べた。


たった一つのことにしか役に立たないが、あると便利な道具類。調理道具の引き出しには他にもいろいろあることに気が付いた。

<魚の鱗取り> ある程度は包丁の背で取ることもできるが、必ず鱗が残り、口に入ると気持ちが悪い。やはり必要だ。 

<林檎の芯抜き器> 焼き林檎を作る時の必需品。最近では筒状に切った苦瓜のわたを取るのにも活躍中。

<帆立貝の殻開け器> 殻付き帆立貝についてきた器具。これがなければカトラリーを何本か痛めただろう。

<グレープフルーツ用ナイフ> ギザギザの鋸状の刃が湾曲したこれが無いと、二つ割にしたグレープフルーツを気持ちよく食べることはまず不可能。


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鱗取り器以外はどれも年に数えるほどしか使わない道具だけど、あると気持ちよく作業がすすむ。

適材適所?

どれも高価ではなく美しくもなく、たった一つの役にしかたたないが、愛おしい道具たちだ。



   引き出しの暗がりで出番待つ道具たつたひとつの用途のために 晶子












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by minaminouozafk | 2017-11-26 09:43 | Comments(6)

 朝は時計がわりに、寝る前は一日の動きをざっと見るためにテレビをつけている。若い頃のように必ず見たいという連続ドラマも無ければ、ゲーム感覚のクイズ番組もテレビと向き合って見るほどのものでもない。いきおい選ぶのは、国内外を問わず旅行や紀行番組や歴史、サイエンスなどを扱っているものになっている。 


 その中で夫と必ず見ているのがBS JAPAN月曜九時からの「ワタシが日本に住む理由」である。遠く海外から日本にやって来て、日本で職を持って生活している外国人の方にプロフィールを紹介しながら、「日本に住むと決めた理由」を聞く。毎回一人の外国人が招かれて流暢な日本語であふれだす日本への思いをたっぷりと話してくれる。司会は俳優の高橋克典さんとテレビ東京の女性アナウンサーで、私も聞いてみたいなと思うようなことを上手に投げかけて、和室に椅子とテーブルというセッティングのなか和やかに進行する。


 いろんな国の方が出演する。墨絵や、尺八、剣道、芸者など日本の伝統的なものを職業にしている人も多い。ソーセージやパン、料理など自分の国の技術を活かした職業についている人もいるが、やはり日本に魅せられて住んでいるだけあって日本の伝統文化の世界に暮らす人が多く目に止まる。

 「なぜ、日本に住むのですか?」の問いに、待ってましたとばかり猛烈に語り始める。「伝統文化・伝統工芸」「日本人の性格」「自然のすばらしさ」「和食への思い」など、日本への惚れ込みようは驚くばかりだ。


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                        <夫が住みたいという上海> 


  そこで、私はなぜ日本に住んでいるのかを考えた。答えは簡単で、私が日本に日本人として生まれたからにほかならないし、私は日本しか知らない。日本の良さにのめり込み、どうかすると日本人より日本人らしく生活する彼らのように、自分の国以外の国のことを知ろうとしたことがない。友好はまずはお互いを知ることからということを改めて考えさせられた。


 私にもまだ時間は残されているから「エイヤッ!」と決断すれば、『ワタシが日本に住む理由』が無くなるかもしれない。でも優柔不断な私はこの豊葦原の瑞穂の国に住み続けることでしょう。


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                         <上海の観光地 豫園>  

        N回の選択をしてここにいるワタシは二のN乗分の一


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by minaminouozafk | 2017-11-25 12:15 | Comments(7)

久々に、歌会も何もない日曜日。
図書館へ行く。

調べるものがあったが、結局読みたい本をどさっと手にして、夕方まで読みふけった。

外に出ると福岡タワーにクリスマスイルミネーションが点灯されていた。


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もう、そんな時期。そういえば街のあちこちがライトアップされているが、急かされるような思いが湧き、なんとなく目をそらしていた。

ここも毎年変わらない百道浜の風物詩なのだが、夕暮れのなかのツリーはなかなか良い。

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ツリーの色も刻々と変わる。


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図書館からタワーまで、うろうろしている間に夜。

そう、これは先週ちづりんがブログで書いていた〈無限にある風景の組み合わせのなかではじめて叶った風景〉…

何だか忙しさにかまけて、多くのものを見落として来たみたい。
またしても、われらが巫女ちづりんのご神託をいただいた。

     ガラス壁に映るツリーもきらきらりはじめましてと見上げてゐたり
     海近く荒れる波間に身をまかす川の夜陰のをしどりの影



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by minaminouozafk | 2017-11-24 08:19 | Comments(7)

西高東低の冬型の気圧配置で、午後からは雪がちらつくことも…という予報が出されている今日。勤労感謝の日。空はすっきりと晴れ上がり空気はきりりと冷えている。
19日に山口の短歌大会が無事終わり、今日は大会後の発送作業の予定。
(大会の詳しい内容は来週ご報告します。<(_ _)>)



関西にいる娘からもみじの写真が送られてきた。

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京都の光明寺の紅葉


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ライトアップされた永観堂の紅葉



京都は紅葉もくっきりとしていて、あでやかさが匂い立つよう。

その中の一枚のこれは?

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萩と知っておどろいてしまった。花ばかりに注目して黄葉することにずっと気付いていなかった。




京都でコスモスの50周年大会が行われた時、鷹が峰の光悦寺で、光悦垣に添う萩群に目を惹かれ、それ以来萩に目がとまるようになった。

山口で見る萩とは違って大きく丸い葉は、露が置くとさぞ美しいことだろうと心に残った。


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9月の初めに十種ヶ峰(山口)で見た咲き初めの萩




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写真は御所の近くにある梨木神社で、参道には1000株の萩が植えられ萩の名所として有名なところと言う。花の盛りの9月の萩の風情も良いけれど、花を終えて黄色く色づく萩群の風情にも心惹かれる。もう少しすれば参道は黄葉の見頃を迎えることだろう。



さ夜ふけてしぐれな降りそ秋萩の本葉(もとば)黄葉(もみぢ)散らまく惜しも  

                          万葉集巻10・作者未詳

(夜が更けて時雨れよ降らないで。萩の本葉の黄葉した葉が散ってしまうのが惜しいから)


萩の黄葉は和歌にも多く詠まれていた。

今まで見過ごしていた萩の姿に心ときめいている。



萩群の黄の明るさを灯しつつ師走間近の雑踏行けり


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by minaminouozafk | 2017-11-23 12:02 | Comments(7)

神聖ローマ帝国歴代皇帝のなかで、異彩を放っているのがこの方。


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ルドルフ2世(1552年-1612年)である。


ご覧いただいているのは、今、福岡市博物館で開催中の

「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」のチラシ。なんとも賑やか。


題してウェルトゥムヌスとしてのルドルフ2世像》。1591年制作。


ウェルトゥムヌスは、ローマ神話に登場する果実の神、季節のめぐりを司る神でもある。


このチラシを見たとき、なんと珍妙な絵! と思うと同時に、

嬉々として絵筆をふるう画家の姿が思われて、じわんと胸があたたかくなってしまった。

これはもう描くのが楽しくてしょうがないという感じ。


画家の名は、ジュゼッペ・アルチンボルド(1526年-1593年)。

マニエリスムを代表する画家の一人として数えられる。


もちろんチラシより、実物のほうがいいに決まっている。見に行った。


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このルドルフ2世像、

なんと、のべ67種類もの果物や花や野菜で形作られているという。

皇帝を豊穣神になぞらえることによって、その治世の繁栄が祝福されているのだそうだ


肖像画の隣には、絵解きされたパネルが掛けられて、

これはサヤエンドウかやっぱり、

なんとこれはサクランボであったか、

などと答え合わせができるようになっている。

みんなあっちを見てこっちを見ては頷いている。

中に一つ「不明」と書かれたのがあったのも面白かった。


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しかしこの絵、通常の概念の〈威厳〉といったものからはほど遠い。

それでいて、眼差しは穏やかで慈しみに溢れている。


アルチンボルドはこの皇帝を心底慕っていたのだろうと思う。

栄華の寓意があるとはいえ、形ばかりの敬礼ではこうは描けないような気がするのである。

そしておそらく皇帝もそのアルチンをよく理解していたのだろう。

絵を贈られてたいそうな喜びようだったというのだから。


――かれこれ400年余り前の話である。


  騙し絵にだまされてゐる秋の昼いまならもつとやさしくなれる



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by minaminouozafk | 2017-11-22 05:53 | Comments(7)

先週末、娘が帰ってきていた。

中間試験直後に大学の学祭があり、所属サークル(ルービックキューブサークル…笑)も特に出店予定なし、ということだったので福岡でのんびりしようと思ったという次第。

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この娘、帰福の際はいつも着の身着のまま。たいていジーンズと、夏ならTシャツ、寒くなったらセーターや羽織り物が加わる。荷物は常にデイパック1つ。中には解析学、論理と集合、代数などの重い重いテキストが数冊。講義が終わって、そのまま飛行機に乗るので仕方ないが、数日の滞在のための着替えなど一切持たずに帰省するかなりの勇者なのである。



娘が帰ってきた翌朝、洗濯物を干していると、あら、靴下が変。どうしても組み合わせがおかしい黒いショートソックスが片方ずつ残っている。また夫の仕業か、と思い確認すると俺は知らない、そんなみっともないことは絶対しない、との言。え、じゃあまさか、と娘に尋ねてみると、「あ、そうだよ~、それ私。あ、左右違ってたんだ、道理で左足がきついと思った。むくんでるのかなと思ったけど、あー、靴下が片々だったんだー。」・・・・・!


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質感の違い、おわかりいただけるだろうか。



気づけよ、娘19歳。



娘には帰福の際に必ず会う友人がいる。通称「はっちゃん」。20歳男子。塾時代の友人で、スターウォーズや、各種ガジェットなど、コアな趣味で通じ合える数少ない友達なのである。お出かけの際、娘の服を用意するのは私。しかも、私のクローゼットから。靴もバッグもひととおり揃え、着替えさせて送り出す。着替えを持たずに帰ってくるのは、どうせ母の服を借りればいいと思っているからなのだ。




4,5年前に買ったワンピース。地味なツィードで、ウェストをサッシュベルトで締めるだけのデザイン。おばさんの体型にやさしい、という理由で購入したのだが、今、娘に着せてみると、なんだ、イケてるじゃないか。ざっくりした生地感が逆に若さを強調し、華奢な骨格を演出している。私より二回り小さい娘だが、最近の若者らしく、それなりに手脚が長い。七分丈の袖から出た黒いセーターの腕や、黒いタイツの脛のすっきり感は10代ならではのものだ。



惨敗!!



靴下を左右片々で履いて平気で飛行機に乗って帰ってくるような娘の方が美しく服を着こなしている事実にうちひしがれる私。もうこのワンピースは着られない。


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最近の子は自撮りが上手い。ポーズ決めたりするの、恥ずかしくないんだろうなあ。



私が和装に走る二つ目の理由はこういうことなのだった。



湯上りの薔薇色の頬うつくしき吾子に剝きやる赤き林檎を



ママハハじやなくてほんとのおかあさんだつたんだつて 「白雪姫」は




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by minaminouozafk | 2017-11-21 07:59 | Comments(7)