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白砂青松  栗山由利

 先日、毎朝みている生活情報番組で航空機パネルの落下事故が話題となっていた。出勤準備でバタバタはしていたが、司会者が言った次のような言葉、「‥‥航空会社には安全という最高のサービスに力を入れてほしいですね‥‥」に私のアンテナが反応した。これはおかしい!『安全』は『最高』のサービスではなくて、『最低限』のサービスのはずではないか?と、すぐに近くにいた夫に確認したが聞き違いではなかった。このような取り違えは身近な食の安全から原子力の安全まで広く見られるような気がしている。


 振り返って思い出す話がある。父が元気なころだからもう20年以上前になるだろうか。

同じようにテレビを見ていた父が昼前のローカル局の番組の中でアナウンサーが「白砂青松」を「しろすなあおまつ」と読み間違えたことに腹を立て、すぐさま受話器を取り「アナウンサーというものが白砂青松ごときを読み間違えるとはなんということだ!」と電話をかけたそうだ。

朝から夕方までテレビでは生活情報番組と称して生番組が各局目白押しだ。口から発した言葉は次から次へと次の言葉に消されていくのだが、気を付けて聞いているとおかしな言い回しや変な表現が耳につくことが多々ある。


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 来年度から小学校の3、4年生から英語が必修化されるという。賛否両論あるだろうが私は反対派だ。まずは母国語である日本語の基礎をしっかりと固めて、読む力、書く力をつけて欲しいと思う。それがあればあとは動機付けの問題であって、学べる力が大切なのではないだろうか?

スポーツ選手をはじめ多くの人が他国語をマスターして広く活躍しているのは、必要に迫られたからということもあるだろうが、根底はモチベーションの高さと学べる力ではないかと思う。


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 一歳と六か月になる孫は、いまおしゃべりが始まったばかりだ。母親が以前からたくさんの語り掛けをしていたこともあって、しっかりと言葉が出ている。私が選んだ絵本「ノラネコぐんだん あいうえお」を気に入ってくれ、ページをめくっては「にじ」「あめざあざあ」とか「なっとぅー(納豆)」とかの言葉がとびだしている。言葉のキャッチボールが出来るようになるのを楽しみにしている。



  開いたら絵本をとびだしねこたちが教へてくれる か・き・く・け言葉


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by minaminouozafk | 2017-09-30 10:44 | Comments(8)

「エフ―ディ」(20165月発行)という雑誌が届いた。

それは、ふくおか県民文化祭講師の小島なおさんから。

全国大会でお会いした時に講師紹介のためのプロフィールを伺い、参考のなればと送って下さった。

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それがとっても面白いのだ。

ティッシュケースのイラストが御茶目だが、エフ―ディとはティッシュが取り出しやすいように箱のなかで手助けしてくれる妖精なのだそうだ…

私が説明するよりエッセイの一部を抜粋する。(本の詳細はネットでどうぞ)

第2弾、始まる  石川美南

  短歌と俳句の秘密結社、エフーディの会・有志による吟行ツアー、第2弾。今回は川野里子さんの故郷である大分県竹田市を訪れている。第1弾(松山・別子銅山吟行編)から引き継いでのメンバーは、川野里子さん(歌人)、東直子さん(歌人、小説家)、三浦しをんさん(小説家)と、石川(歌人)。第2弾からの新メンバーは、小島なおさん(歌人)、平岡直子さん(歌人)、高柳克弘さん(俳人)。

なおさんは本名が直子さんなので、七人中三人が「直子」ということになる。


異業詩間!?交流のとても豪華なメンバー!

ほぼ毎月、歌会か句会を行い、時々吟行旅行に出かけ雑誌にしているとのこと。

今回は、竹田市のバックアップで二泊三日、「作家が語る+作家と語ろう」というトークイベントの旅だったようだ。

欠席だった平田俊子さん(詩人)も後日「一人吟行」!を敢行され計8名による、俳句、短歌、詩、から各自二種類以上+エッセイ(全員)が掲載されている。

そのすべてがこの旅に関する作品というのも、皆さんの意気込みが感じられる。

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おばさんの私にも読みやすい行間と文字の大きさ。

内容の濃い旅程表に始まり、短歌、俳句は各10首(句)、全92頁。

しっかり読み応えのあるものだった。

すべてをご紹介できないのが残念だが、短歌作品の中から二首ずつ紹介します(掲載順)。

礼拝堂の岩窟くぐる神もたぬひとりひとりが深く身を折り      川野里子

ここであそこでどこで鳴る鐘おほいなる楽器となりてこの町しづか

しののめのきのこの目覚めみるみるとミルクのような霧のうれしさ  東直子

すきとおるレースとなって落ちる水 悲願を流し続けるように

そのむかしひたりひたりとキリシタン裸足でゆきし肥後へ続く道   小島なお

穂芒は柔く重たき死者の腕 此方(こちら)参れと手招いている

あたたかき餡は裏切りの味に似て崖下で呼ぶヤコブの生首      三浦しをん

十字架とΩ(オメガ)を隠し墓石に刻んだ文字は妙法蓮華

石に次ぐ石ありなべて平らかにここが遺跡と説かれてゐたり     高柳克弘

血の流れ沁みたる土にあをあをと夏の名残りのとのさまばつた

城跡へ向かふ夕暮れ 身じろぎもせず立つてゐる()槿(くげ)が怖い     石川美南

右手、宙に浮かせたるまま月を待つほんの子どもの滝廉太郎

あるだけの鉄道模型を敷きつめて踏み絵といえばバージンロード   平岡直子

死角には柑橘類が増えながらカメラが舌を出すのがこわい

ああ、紹介は簡単に。とは思うのだけど、あまりに素敵過ぎてなおさんの詩も紹介しちゃいます。

        秋の鏡    小島なお

       

       ふっくらと秋の雲

       見覚えがあるような気がして

       しばらく仰いでいたら

       雲も私を見下ろして

       しばらくしたら行ってしまった

       しんなりと秋の風

       すこし淋しくなって

       一歩二歩と近づくと

       風はすらりと身をひるがえして

       素知らぬ顔で去って行った

       ひっそりと秋の木

       なにか物言いたげに

       こちらに両枝を広げてくる

       わたしはくさくさしていたので

       目もくれずに通り過ぎた

       すれちがうたび

       空にある巨きな鏡が

       きん、と光る

       きん、きん、きん

       眩しい秋の
       数えきれないすれちがい

       秋のあいだじゅう

       光り

       秋という季節をかけて

       古びてゆく

       鏡

       つめたい北風の吹いた朝

       ひびだらけになった鏡が

       いっきに割れた

       ぱりんぱりん、ぱりん

       空から破片を振り落とす

       すれちがった

       雲や

       風や

       木

       あっという間に光のかなた

       破片をざくざく踏んづけて

       なにもかもすっかり忘れて

       はじめからひとりきりのようなわたし

       空に鏡はなくなって

       今日から冬だ

                    ※竹田市には鏡という地名がある

東直子さんの作品の中に〈三人の直子の一人赤い服たなびかせつつ白雲を呼ぶ〉とあった。

なおさんは雲と交信しながら、この詩を生み出したのだろう。

次の発行が待ちどおしい一冊と出会ってしまった。

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                 吹く風に竹田の秋がまぎれこむ雨のち雲がながれる街に


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by minaminouozafk | 2017-09-29 07:27 | 歌誌・歌集紹介 | Comments(7)

一枚の絵  鈴木千登世

実家にもうすっかり古くなってしまった一枚の絵がある。

ひざまずいて胸に手を当てて祈る和服の女性の絵で、作者もわからない。


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白い雲か、雪のようなものの上にひざまずいているので、幼いころは「雲の上のお姫様」といってよく見上げていた。病気で熱が出たときに、寝ている視線の先にあったその絵をぼうっと見つめていたことを覚えている。

母は若い頃に教会に通っていたことがあって、その時にいただいたマリア様の絵だといっていた。けれど、着物姿なのでなんとなく腑に落ちなかった。


小学生の時に転居した家では玄関の次の間に飾られた。

学校から帰る度にその絵の傍を通って、奥の部屋に行くので、自然と目に入る。

ほとんどは気にとめずに通り過ぎるのだけれど、時折ふと目をとめることがあって、その度にざわめいていた心がしんと落ち着いた。



実家を出て長い歳月が過ぎた。

子どもの頃に過ごした古い家は解かれ、実家も違う町に移った。

何かの拍子にふとその絵を思い出すことがある。おぼろではあるけれどその静かな祈りの姿が思い浮かぶと、不思議と心がしんと落ち着く。


瞑りたる女の絵ありて静かなる祈りは今も私を包む


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by minaminouozafk | 2017-09-28 05:27 | Comments(6)

或る日。

「葛飾砂子」(鏡花作)が「葛原妙子」に見えてしまった。

……。


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スライドが変わったとたん、少年は叫んだ。

あいしてます!


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『蜜の大地』の小紋潤さんのご出身は久賀島。

実は、隣の隣の隣の島である。


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           * * *


パトカーの急行現場に居合はせて男のバンザイ偶然見たり



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by minaminouozafk | 2017-09-27 06:35 | Comments(7)

9月24日(日)は第14回筑紫歌壇賞贈賞式@大宰府館まほろばホール。

筑紫歌壇賞については、以下の記事をご参照下さい。


今年の受賞者は、小紋潤氏。『蜜の大地』。
小紋氏と、その歌集については、以下の記事をご参照下さい。



今年は天候にも恵まれ、参加者の皆さまの出足も好調。われわれお世話係「しらぬひ会」とその仲間たちも楽しくお仕事をこなします。

12:30  受付開始。「いらっしゃいませ~」

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13:30  第1部 贈賞式開始。

会場入り口の小紋潤氏のコーナー。小紋さんに一筆差し上げることもできます。

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総合司会は中島行矢氏(この方は昨年の受賞者ですね)。

主催者である国際科学技術文化振興会理事長・隈智恵子氏の挨拶。毎年、隈さんの声を聞くとああ、いよいよ始まるぞという高揚感に包まれます。
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会場は満席。当日参加の方も多く、嬉しい限りでした。

続いて、太宰府市長芦刈茂氏、後援いただいている本阿弥書店の奥田洋子社長よりご挨拶をいただき、その後、選考経過報告を選考委員の小島ゆかり氏にしていただきました。

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選考委員のお三方。
今年から「ポトナム」の青木昭子氏が加わりました。


「歌人としてのみならず、編集者としても、現代短歌の歴史を作ってきた人。禁欲的なまでの表現意識と抒情精神。その内部に湛えられたゆたかな孤独と安息。50年にわたる一人の精神史が、意志をもって選ばれた短歌形式のなかに陰影深く刻まれている。筑紫歌壇賞にきわめて貴重な一冊が加わったことを感謝したい。」

ゆかりさんの、胸に迫る言葉でした。

そして贈賞。

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小紋氏は現在、闘病中。長崎歌人会顧問・馬場昭徳氏が代理でご出席下さいました。おいでになる途上で、なんと乗車されていた電車に車が衝突するという事故があり、それでも式に間に合うようにいらしていただきました。馬場さん、ありがとうございました。


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馬場氏によるご挨拶。小紋氏に代わって受賞の喜びを熱く語って下さいました。馬場さん、お疲れさまでございました。


そして、今年の課題歌「声」の選者賞発表。
「太宰府市長賞」は、山崎碧さん。
筑紫歌壇創設の功労者・久津晃氏を記念して作られた「葛の葉賞」は、石井美智子さんでした。
お二方、おめでとうございました。


休憩をはさんで、第2部。
シンポジウムのテーマは「声のうた」。小紋氏の歌集『蜜の大地』の韻律の美しさ、作者の気息が伝わるような作品に触れ、ごく自然に「声」がテーマになりました。

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パネラーは、画像向かって左から、伊藤一彦氏、桜川冴子氏、藤野早苗、青木昭子氏、小島ゆかり氏の5名。1人5首ずつ挙げた作品を鑑賞し、意見を交わします。様々な発言の中で面白かったのは、

こゑのみは身体を離れて往来(ゆきき)せりこゑとふ身体の一部を愛す  河野裕子『はやりを』

という作品を引かれた伊藤氏の発言。

「いいですか、みなさん、声というのは身体の一部なわけですよ。だから、今、私がこうして発している声は、私の身体の一部分であってそれがみなさんの身体の中にどんどん侵入していっているわけですよ。」


・・・。怖い。伊藤さんの声だからこそ、リアリティがありすぎて、夢に出てきそう。そう思ったのは私だけではなかったらしく、会場内爆笑が起こっていました。

そんな盛り上がりも見せつつ、声には古来、霊的な力があり、人間の感覚器の中で最も鋭敏な部分、それを十全に生かすことで秀歌も生まれるのではないか・・・というところで、ちょうど時間となりました。みなさま、お疲れさまでした。

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会場にいらしていた、染野太朗氏に、急に発言を求める伊藤氏。戸惑いながらも登壇して下さり、ご発言して下さった染野さん、ありがとうございました。ご来場のみなさま、とても喜んでいらっしゃいました。



さて、場所を移して第3部、懇親会@松島茶店。

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太宰府天満宮はお祭りで、こんなお神輿が出ていました。
境内を通って、いざ松島茶店へ。

ここからは毎年無礼講。まあ、盛り上がる、盛り上がる。もっと画像を撮れば良かった。
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17時に始まった懇親会も大盛況のうちにお開きに。19時。長くて、でもあっという間の一日が終わりました。ここ松島茶店では毎年、懇親会参加者全員に梅ヶ枝餅のお土産があります。これがまた大会の余韻にもなって嬉しいのです。

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そして来年に向けて、ちょっとした打合せ。都合がつく数人で集まり、話しました。こんな感じかな。来年がすでに楽しみです。どなたがご受賞されるのかしら。

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午前10時に集合し、全日程終了は10時30分。
みなさま、お疲れさまでした。今年も大変楽しゅうございました。来年お会いいたしましょう。





   来年を約し「さよなら」大宰府の歌の縁につながるわれら




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by minaminouozafk | 2017-09-26 02:49 | Comments(7)

日本の種  百留ななみ


每年、夏の終わりたっぷりの雨で土が潤ったあと冬野菜の種まきをする。このごろは種まきから収穫までおまかせする夫がホームセンターで買ってきてくれる。いつも種が鮮やかなブルーやピンクであることは気になっていた。


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袋の表のつややかな蕪の写真をながめ実る頃を想像しつつ種蒔き。蒔き終えて、まだ残りがあるので、きちんと封をと思いながら裏をしっかり読む。すると「この種は農薬処理をしています」の小さな文字。



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ええっつ!どうして農薬処理なんかしてある種を買ってきたの?と夫に不審の眼差し・・・でもよく見ると大根も人参も菠薐草も。チウロム処理済イプロジオン.キャプダン種子粉衣など書いてある。種子粉衣ってことは鮮やかなブルーやピンクは農薬。



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青虫もカメムシもどうぞどうぞと無農薬を売りにしていた我が庭の野菜たち。発芽まえから農薬処理がされているとは知らなかった。そのうえ生産地?はアメリカ、中国、韓国、ニュージーランドなどとなっている。すべて外国産?厳密には地消地産ではない。国産野菜とも言えないのだろうか。



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ついでに発芽率なる表記もあり85%や90%以上とやたら高い。だから、我家の畑でも元気に育つ。妙に納得してしまいつつも割り切れない気持ち。どこのホームセンターでも種のメーカーはタキイ種苗やサカタのタネが多い。


こんな時に便利なのがネット検索。


国内の大手種苗会社ではコストを安く、大量に作るために海外の広大な土地で野菜の種を採取、9割ちかくが外国産らしい。それらはF1品種と呼ばれる一代限りだが形の揃った同じ大きさのものが大量生産できるものらしい。F1品種の野菜から採取した種をまいても発芽率ははなはだ低いようだ。だから農家も每年新しい種を種苗会社から購入する。


日本の野菜たちの生命はどうもつながっていない。小さな家庭菜園だけではなく、箱詰して市場に出荷する農家こそF1品種が必要なのだろう。庭の小さな畑までグローバル化は来ている。


もちろんこだわって自分の畑で種を取り連鎖させている方もいると思う。私も今年はささやかなる抵抗で大根も蕪も人参も何本か花を咲かせて種をとってみよう。もしかしたら発芽してくれるかもしれない。每年更新できたら嬉しい。


どこのスーパーの野菜も同じ種苗会社が外つ国で育てた種からと思うとなんだか恐ろしい。ぼおっとしているうちにいろいろな生命のクローンも実現するのだろうか。



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つぎの世にいのちをつなぐ要の無きゆたかな一代雑種のふしぎ

ななみ


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by minaminouozafk | 2017-09-25 07:50 | Comments(7)

曼殊沙華  大西晶子

 数日前、気が付いたら土からにょきっと先の尖った茎が伸びてい     る、彼岸花だ。分かれてきた蕾の色でこれは白彼岸花だと分かる。

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我が家のすぐ近くに、九十代の老婦人がつくる畑があった。
その老婦人が亡くなられると、整地され新しい家が二軒建った。

畑が整地される前に、近所の人で草花がを欲しい人にはあげるということでもらったのが白曼殊沙華だった。
植えてもう4年ほどになるが土が合ったのか、ずいぶん数が増え た。庭の三か所で今が盛りと咲いている。 



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赤の曼殊沙華も咲いている。こちらはずっと前に空き地に咲いていたものを掘ってきたものが増えたのだ。

曼殊沙華にはたくさんの名前があり、彼岸花、死人花、きつねのかみそり、幽霊花、捨子花など、あまり良いイメージではない。

北原白秋の「思ひ出」のなかに曼殊沙華という詩がある。


      曼殊沙華

  GONSHAN.GONSHAN,何処(どこ)へゆく、
  赤い御墓(おはか)の曼殊沙華(ひがんばな)、
  曼殊沙華(ひがんばな)、
  けふも手折りに来たわいな。

  GONSHA. GONSHAN. 何本(なんぼん)か、
  地には七本、血のやうに、
  血のやうに、
  ちやうど、あの児の年の数(かず)。
  GONSHAN. GONSHAN.気をつけな。
  ひとつ摘(つ)んでも、日は真昼、
  日は真昼
  ひとつあとからまたひらく。

  GONSHAN. GONSHAN. 何故(なし)泣くろ。
  何時(いつ)まで取つても、曼殊沙華(ひがんばな)曼殊沙華、
  恐(こは)や赤しや、まだ七つ。


哀愁と奇妙な残酷さがまじった詩の、罪の匂いにどきどきする。
「何故(なし)泣くろ。」これは柳川あたりの方言か、あるいは白秋の創作した言葉なのだろうか。


宮英子は柊二を充分思った後で、曼殊沙華になってしまった。この曼殊沙華は明るい場所でひとつだけ草の中で華やかに咲いているイメージだ。

きのうはお彼岸の中日だった。
宗像では今、一面の黄色い田に彼岸花の赤い列が鮮烈だ。彼岸花は確かにお彼岸に咲くのだと、当たり前のことなのに驚いてしまう。


「らいねんの九月に会ふ」つてゆびきりをしていたかしら白曼殊沙華
                          晶子
                 









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by minaminouozafk | 2017-09-24 08:48 | Comments(7)

どかん猫  栗山由利

 どかん猫??今どきの物騒なご時世だから爆弾を抱えている猫?のことではない。では、わざわざ新聞やキーボードの上にやって来て人の邪魔をする猫かといえば、それでもない。この猫は「土管猫」。最近、土管はめったに使われていないので厳密には「塩ビ管猫」と言うのが正しいのかもしれない。


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 先日、職場への道を急いでいると目の端になにかいつもと違う景色が映ったような気がした。そちらに目をやると、用水路の壁面にある雨水を落とす管の中から白黒の猫がこちらを見ていた。車も通らないのんびりとした公園横の脇道だ。田んぼに水を引く用水路とはいえ、川幅は3メートルほどもあり水もたっぷりと流れていた。飛び越してくるには広すぎるし、間違って用水路に落ちでもしたら流されるかもしれない。気にはなったがここで時間を取るわけにもいかず、ただ猫が慌てたり心細そうにしておらず普通にくつろいでいる感じがしたのを救いにそのまま立ち去ってしまった。


 そもそも、どうして猫は塩ビ管の中から覗いていたのだろうか。調べると猫の祖先である「リビアヤマネコ」の習性が残っていて、餌となるねずみやイタチの小動物が巣穴に住んでいたために、小さい穴があると餌があるのではないかと反応してしまうという説があるようだ。確かにわが家の猫も外飼いのころは、普段は水が流れていない排水路の中に入って遊んでいた。突然に水が流れてきたら‥‥と随分と心配をしたものである。

 仕事のあいだ中、あの猫はどうなったのかと気になっていたが、しばらくしてその猫が公園の日陰で寝ているのを発見できて、めでたしめでたしとなった。


 いま我が家にいる猫は17歳。運動能力も衰え好奇心も薄れたのか、『寝子』の名の通り食べるとき以外は殆ど寝て暮らしている。そろそろ好奇心旺盛な若猫ちゃんと暮らしたいところだが、猫三匹に荒らされた家の中を見回すと決断できないでいる。


   すじ雲が流るる空と猫の目はとほきペルシアの海の青色


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by minaminouozafk | 2017-09-23 11:07 | Comments(6)

全国大会の熱気が夢だったのかしらと思えるような静かな日常に戻り、それでも折々に反芻しては気持ちを奮い立たせています。

皆様お世話になりました。

早苗さんが、全体像は丁寧な紹介をしてくださったので、2日目のグループ歌会、私が参加したAグループの様子を簡単に紹介いたします。

Aグループは奥村晃作さん、小島ゆかりさん、田宮朋子さん、風間博夫さん、わたくし大野の五名の選者。すでに楽しそうな予感!

ご参加の皆さんも含め様々な読みがされて盛り上がりました。

印象的だったのはグループ選でも高得点、選者選も八名の票が入った作品から


・食卓に向ひあふ人ゐる日々の朝のひかり夕べのあかり

下の句の対句に対しての可否はあったがおおむね好意的な意見の中、

小島ゆかりさんのお言葉。

若くない人達ばかりの歌会を前提に、色々な気持ちを汲み取って共感されているが、もし若い人もいる大きな大会で、若い人が新婚を詠んだ歌だったら随分つまらない歌。

私たちは固定観念で歌を見てしまっている…

評をする側への喝が入るおことばであった。

そして最後の総評では

奥村さんから「リフレインなど音楽性のある歌が多く、レベルの高さを感じたが、そこに一様な感じで納まってしまっているのを感じた」と警鐘が発せられた。

小島さんからは「批評という事について、簡単に褒めて終るという事が多かった。折角の機会、褒めるのは簡単だが、ここはおかしい、なぜおかしいのかをじっくり考えることがとても大事。人の歌の欠点は、すなわち自分の歌の欠点に思い当たることが多い。なるべく簡単に褒めずに、批評に情熱を持って、人の歌でも自分の歌と同じくらい熱心に詠むことの積み重ねがやがて自分の歌に豊かなものとなってゆく。選者のつもりで人の歌を詠んで欲しい」と厳しくも温かいコメントが印象に残った。

みなさま、がんばりましょう。

骨折により、欠席された小田部雅子さん、お会い出来なくて本当に残念です。

・こんなにもゆたかな日差し無駄にして危険発電列島走る

選に入れた歌でした。

とても暑かったこの夏、再生可能エネルギーの太陽光発電をことさら感じたのでしょう。原発事故も収束しないまま再稼働が進む現状を危惧し声高に、ではなく勿体ない精神から発していることに好感を持ちました。

早く良くなってくださいね~。

急遽、小田部さんの代役で司会をしてくださった豊島秀範さん、時折おやじギャグも交えて、和やかでありつつ正確な時間配分、ありがとうございました。

さてさて、一番印象的だったのが桑原さんのネクタイ。

広島カープの赤ヘル模様が一面にぎっしり詰まって、ホークスファンとしては、う、うなされそう!であり、赤ヘルファンの心意気を感じました。

高野さんはお酒柄のネクタイ、殿方の自己主張のあるオシャレに感心いたしました。

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二日目の朝は快晴。遠くに富士山らしきものも見えました。ついでにUFOも飛ばしてみました。

三日間留守せしあひに颶風過ぎ鷹、赤ヘルが優勝してゐた

とうきやうは地下鉄さへも刺激的わがスカートをがばりとあふつ

東京の疲れをリセットせんと着るパリリ糊効く真白きシャツを


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by minaminouozafk | 2017-09-22 06:20 | 歌会・大会覚書 | Comments(7)

台風の日  鈴木千登世

カレンダーに9月17日は台風襲来の特異日とあった。

去年のメモにも9月20日に16号台風が鹿児島に上陸したとある。

17日は風も強く、雨はお昼前から夕方まで降り続いていた。


午後6時頃、ピークは過ぎたけれど風はまだ強く、雨も降っているのに、外が明るい。

西の空を見ると、雲が風に吹き散らされて青空が見える。


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家のあたりはざあざあと降る雨、風もかなり強い。

そこに夕日が差していて、不思議な明るさ。この状態をどう受け止めていいのかとまどっていると、さらに東の空に虹。銀鼠の空に二重の虹が架かっていた。


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西の空の雲は3種類。

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青空の高い所にある刷毛で履いたような白い雲、手前はどんより厚く重い雲。そして、低い空を風に吹きながされて目の前を過ぎるちぎれ雲の列。

長く生きていろいろなものを見たように思っていたけれど、まだまだこの世界には不思議なことが多いようだ。気のせいかいつもより夕暮れが長く続いたような気がした。

(翌日のニュースに虹の写真が多く投稿されていました。この風景はあちこちで見られたようです。)



降る雨の最中に浮かぶ虹の橋仰ぎつつ見るその不可思議を

台風のふとも晴れたる茜空テンポ正しくちぎれ雲ゆく


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by minaminouozafk | 2017-09-21 05:51 | Comments(7)