2017年 11月 21日
和装の理由(わけ)2 藤野早苗
先週末、娘が帰ってきていた。
中間試験直後に大学の学祭があり、所属サークル(ルービックキューブサークル…笑)も特に出店予定なし、ということだったので福岡でのんびりしようと思ったという次第。
この娘、帰福の際はいつも着の身着のまま。たいていジーンズと、夏ならTシャツ、寒くなったらセーターや羽織り物が加わる。荷物は常にデイパック1つ。中には解析学、論理と集合、代数などの重い重いテキストが数冊。講義が終わって、そのまま飛行機に乗るので仕方ないが、数日の滞在のための着替えなど一切持たずに帰省するかなりの勇者なのである。
娘が帰ってきた翌朝、洗濯物を干していると、あら、靴下が変。どうしても組み合わせがおかしい黒いショートソックスが片方ずつ残っている。また夫の仕業か、と思い確認すると俺は知らない、そんなみっともないことは絶対しない、との言。え、じゃあまさか、と娘に尋ねてみると、「あ、そうだよ~、それ私。あ、左右違ってたんだ、道理で左足がきついと思った。むくんでるのかなと思ったけど、あー、靴下が片々だったんだー。」・・・・・!
気づけよ、娘19歳。
娘には帰福の際に必ず会う友人がいる。通称「はっちゃん」。20歳男子。塾時代の友人で、スターウォーズや、各種ガジェットなど、コアな趣味で通じ合える数少ない友達なのである。お出かけの際、娘の服を用意するのは私。しかも、私のクローゼットから。靴もバッグもひととおり揃え、着替えさせて送り出す。着替えを持たずに帰ってくるのは、どうせ母の服を借りればいいと思っているからなのだ。
4,5年前に買ったワンピース。地味なツィードで、ウェストをサッシュベルトで締めるだけのデザイン。おばさんの体型にやさしい、という理由で購入したのだが、今、娘に着せてみると、なんだ、イケてるじゃないか。ざっくりした生地感が逆に若さを強調し、華奢な骨格を演出している。私より二回り小さい娘だが、最近の若者らしく、それなりに手脚が長い。七分丈の袖から出た黒いセーターの腕や、黒いタイツの脛のすっきり感は10代ならではのものだ。
惨敗!!
靴下を左右片々で履いて平気で飛行機に乗って帰ってくるような娘の方が美しく服を着こなしている事実にうちひしがれる私。もうこのワンピースは着られない。
私が和装に走る二つ目の理由はこういうことなのだった。
湯上りの薔薇色の頬うつくしき吾子に剝きやる赤き林檎を
ママハハじやなくてほんとのおかあさんだつたんだつて 「白雪姫」は
何より母子でおもやいできるのがうらやましい。
必ず会う友人が居るのは良いですね。続編を待つ!E.
今日の歌、3首かと思いました。でもよく見たら、1首目と思ったものは、新かなで句点がついていました。お見事。Cz.