2017年 11月 06日
ほとけさま 百留ななみ
父の仕事というか、ほとんど趣味で幼いころから家族旅行は神社仏閣巡りが多かった。
なかでも仏像への思いは仕事がら深かったのだろう。ただ鑑賞するだけでなく、たとえば、東大寺の法華堂では、不空羂索観音は脱活乾漆仏で、脇侍の日光・月光菩薩は塑像。観音様は如来よりもまだ修行中の仏様、菩薩はもっと若い・・・と小学生の娘にながながと解説してくれていた。80歳過ぎた今も同じ。
おかげで小学生にして興福寺の天灯鬼がかわいいと思って版画にしてみたり、五重塔の模型を作ってみたりと今思うとかなりマニアックな子どもだった。
とくに奈良に現存している仏様はびっくりする大きさのものに出会う。1000年以上も前に誰がどうやって作ったのか。仏様は作り方の分類として、塑像仏、木造仏、金銅仏、乾漆仏などとなる。なかでも乾漆は名前からして子どもにはわかりにくいゆえに印象的だった。
乾漆仏は奈良時代の仏像に多い。興福寺の阿修羅像も乾漆仏。まず、木で芯を作ってその回りに粘土で造形する。その上に麻布を巻いてまたその上に木の粉の混じった漆を丁寧に塗る。乾いたあとに背中などから粘土を取り出すというたいへん手間のかかる工法だ。しかし張り子構造のため軽いので何かの時に持ち出すのが簡単というメリットもあったが、漆は高価だったため平安時代には木造仏、大きなものは寄せ木作りが増える。今でも乾漆像には不思議な感慨がある。
秋の斑鳩の里、飛鳥の道をゆっくり歩きたいが、なかなか実現しないので山口県立美術館の西大寺展に行ってきました。
ご本尊の釈迦如来立像はくっきりとした目鼻立ち、面長のお顔で繊細で美しい光背とともにお一人でいらっしゃった。京都の清涼寺本尊を模刻したものだが、私は穏やかでやさしい西大寺の釈迦如来に惹かれる。
そして楽しみにしていたのは文殊五尊像。大好きな善財童子は左手にいらっしゃるが・・・あらあら三人だけ。そして文殊菩薩様もなんか変?獅子に乗ってらっしゃるはずが美術館の陳列台に、光背もない。ちょっと身ぐるみ剥がれたような気もしたが、繊細で美しい冠、アクセサリー、衣の柄まで至近距離なのではっきりわかる。切れ長の目、やはりうっとりするほど美しい。
もう一つサプライズは白毫寺の閻魔様。西大寺展なのに御一緒に山口までいらしていた。白毫寺にはたくさんの閻魔様のお仲間がいらっしゃる。このたび三人いらしたのでてっきり左右に司令半跏像、司録半跏像を従えた中央は閻魔様と思ったのだか、正確には太山王だった。
仏像を見に来る人なんていないのではという心配は外れ結構な人だった。
美術館前のパークロードのケヤキもぼちぼち色づいている。
美術館めぐる箱入り仏像をお地蔵さまと見送りてゐる
そういえば太宰府観世音寺、宝蔵の仏像達もちょくちょく出張されてお留守の方がいます。昨夜は灯明ウォークでライトアップされた仏さま達に会って来ましたが、やっぱり蝋燭の炎の方が合うなと感じたばかりです。でも、楽しかった。E.
ほんとうに、お父さま、すばらしい方。Cz.