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観測者Cz. 有川知津子

窓の外が急に明るくなった。


ベランダにでる。

太陽の尽くすかがやきに、空があかく染まっている。

夕映えは、今日を終わろうとする大地に太陽が送る挨拶のようだ。


(写真を撮ろう)

目で見たほどのものは残らないと分かっていてもカメラを取りに室内にもどる。


観測者Cz. 有川知津子_f0371014_23470295.jpg



「1年前にもたしかこんなことが……」

と思ったのと振り返ったのとは、ほぼ同時。

やっぱり――。


観測者Cz. 有川知津子_f0371014_23471578.jpg


虹。


この季節のベランダは、ときどきこんなふうに、右手に夕日、左手に虹を見せてくれる。

だから、ときどき、理科の時間に配られた〈虹の仕組み〉のプリントを思いだすことになる。

太陽光線と雨粒のカーテンと観測者Aの相関がコンパクトに図示されたプリントである。


そうするとまた自然と思われることがある。

あの虹の仕組みの図は、大いなるものの視点で書かれたものなのだ、ということ。

ここに立っている以上、私は図の中に書き込まれた観測者Cz.にすぎず

どんなに黒目を左右に引き離してみても、

虹と太陽を同時に視野にいれて観察することなんてできない。


つまり、夕日の絢爛をいつまでも惜しんでいたいと思えば、虹を見ることはできないし、

虹の厳粛を記憶にとどめておきたいと思えば、否応なく夕日を背にすることになる。


右を向いたり左を向いたりしながら、同時に見られないことを、ザンネンだわ、と思い、

でも、いや待てよ、右を向いたり左を向いたりしながらでも同時に見られることは、

実は、おもしろいことなのかもしれないぞ、などと思いなおす。


ひょっとすると、

何十年もまえの虹の仕組みの学習は、この部屋に住むための準備だったのかしら、

とそんなことまで――。


ところで、

昨年の拙文「そこにある虹」(9月14日)もこのベランダからのもの。

画像を比べながら、太陽のしずむ位置はほんとうにずれてゆくんだとあらためて確認する。


そういえば、あの記事のあとで、おなじ夕日を見たと声をかけてくださった方があったなあ。

お元気かしら。


とりとめの無いことになりそうである。

掲載が遅れてしまい、ほんとうにごめんなさい。



  虹の化石出でし話はまだ聞かずうつつこの世の深さ果てなし



Commented by minaminouozafk at 2017-08-23 19:48
沈むと言うより、何かが生まれそうな夕空、美しい。私も昨年のちづりんのブログ読み直しました。
「大いなるものの視点」「虹の化石」さすが虹に呼ばれる女、ちづりんの視点は楽しい!
ちづりんなら虹の化石発見できるかも。E.
Commented by minaminouozafk at 2017-08-23 21:29
夕日の絢爛と虹の厳粛、なるほど。素敵な表現。そしてそれがベランダから観賞できるなんて、羨ましすぎる。美しい空をありがとうございます。S.
Commented by minaminouozafk at 2017-08-23 21:42

右夕陽、左虹、ちづりんはその間なんですね。体の向きを変えると絢爛たる夕陽と厳粛な虹を見られるなんて、なんという贅沢なお住まい。美しい写真に心が晴々します、ありがとうございます。A
Commented by minaminouozafk at 2017-08-24 06:34
虹の写真、良いことが起こりそうです。虹が出るときの夕日は特別なんですね。去年のブログ読み返してまた美しさに浸りました。「虹の化石」ありそうな気がしてきました。Cs
Commented by minaminouozafk at 2017-08-24 06:34
虹と夕陽どちらも見える素敵な窓辺。うっとりします。夕陽が沈むのは秋に向かい南よりになるのでしょうか。朝日も徐々に動いてます。宇宙の不思議。何か良いことありそうですね。N.
Commented by minaminouozafk at 2017-08-24 08:09
ここ数日の暑さを忘れさせてくれるようなふたつの景色です。虹も月も別々のところで、みんなが同じものをみているという安堵感がありますね。良いことがありそうな景色です。Y.
Commented by minaminouozafk at 2017-08-24 23:24
ありがとうございます。今日も夕虹にあいましたが、携帯電話もカメラも不携帯でちょっとザンネン! 幅広で明るい虹でした~Cz.
by minaminouozafk | 2017-08-23 16:58 | Comments(7)