2017年 08月 08日
Ce frere etait tout pour moi! 藤野早苗
二週にわたる、晶子さんの向日葵を見ていたら、読み返したくなった。
『Mon Frere(にいさん)』 いせひでこ
画家ヴィンセント・ヴァン・ゴッホとその弟テオの物語である。
あとがきを含めても40ページ。
挿画の黄色とインディゴのコントラストがゴッホの画風を思わせる。
ヴィンセントとテオについてはすでにご存じのことだろう。
生涯を芸術に捧げ、誠実に生きようとすればするほど、周囲との軋轢を生んでしまう兄、ヴィンセント。その兄の才能を信じ、画商となって支えようと心を砕いた弟テオ。
ゴーギャンとの訣別、耳切り事件、拳銃自殺・・、ゴッホの奇矯な行為の奥底の無垢な魂を誰より理解し、愛していたのはテオ。この本は、ゴッホの葬送の場面から始まり、兄を追慕するテオのモノローグという形で進行する。
2008年初版第1刷を購入したようだ。
娘が10歳の頃。
読み返していると、ところどころ鉛筆でアンダーラインが引かれている。
・まるで世界には、きみのすわる椅子がないようだった。
・きみは捨てるものなど、何ももっていなかった。
・「ぼくの魂の中には小さな暖炉の火があるのに、誰もあたたまりにやってこない。」
いつ引かれたものなのか。
何度この本を読み返したのか。
私は何も知らなかった。
Ce frere erait tout pour moi!
「兄さんはぼくのすべて、ぼくだけの兄さんだったのです!」
兄の死後、テオがオランダの母親に宛てた手紙の中の言葉である。
無名の画家と無能な画商として、37歳・34歳の生涯を終えたふたり。(テオは兄の死後1年で亡くなっている。)後世、かくも偉大な芸術家とその擁護者として称えられるとは思ってもみなかったであろう。
オーヴェールの丘に並んで眠るふたつの魂。
ただ愛がふたりを繋いでいた。
8月8日、今日、娘が帰ってくる。
胸を射る言葉いくども読み返し子はわが知らぬ間に育ちたり
晶子さんのひまわりのおかげで、さらさちゃんの新たな一面が!
「空っぽの二脚の椅子」のくだりはちづりんのブログを思い出します。色んなところでリンクしているのですね。E.
お嬢さん、もうお帰りでしょうか。楽しい夏休みになりますように。Cz.
今日はうづちゃんたちも大きく伸びて寝てるのでは…?Y.
ブログのつながり嬉しいです!Cs