2017年 08月 03日
柳井の旅~茶臼山古墳 鈴木千登世
不思議な光景が広がっていた。
住宅地の向こうに見える高台を目指して車を走らせると、石で覆われた丘に朱の埴が並ぶ場所に行き着いた。
ここは柳井茶臼山古墳。山口県で2番目に大きい全長約90mの前方後円墳で、4世紀末から5世紀初めの築造。
多くの古墳は木や草で覆われた、山や丘と呼ぶ方がふさわしいような状態だけれど、ここでは古墳全体を葺石で覆い、142基の埴輪を立て並べるなど築造当初の姿が復元され、公園として整備されている。
階段を上った先の、古墳の最も高いところの地中に王は眠り、その隣にもうひとり(おそらく妻)が埋葬されていたという。
古墳の主は「熊毛王」。眼下の海峡を有していた王は、海上交通を利用しての交易と軍事的な要所を握っていたことで大きな力を得ていたという。
古墳からは鏡や剣、曲玉や管玉が発見され、併設された資料館にはレプリカが展示されている。
単頭双胴怪獣鏡は中国の鏡を真似て国内で作られたもので、神と龍となんとも愛嬌のある文様が刻まれている。
九州で最も大きい鏡が発見されるまで、この鏡が最も大きかったと資料館の方は残念そうだったが、熊毛王の強大な権力を目の当たりにしたように感じた。古墳も航海する船に、自分たちの権力の大きさをアピールしたものでもあったとか。
穏やかな海とばかり思っていた瀬戸内海の別の姿を古墳は教えてくれた。
目の下の瀬戸の島影青き海千年前もきのふのごとし
方位感ならぬ時間の感覚の失せて埴輪の輪の中にをり
同じ4世紀後半から5世紀頃は、沖ノ島も神が降臨するという、宇宙に一番近い岩上で、国家祭祀を行っていた時代。3世紀頃に作られたと見られる国産の銅鏡も大量に発見されています。離れた場所で同時代に行われていた祭祀・・・
ロマンですね。女子は沖ノ島には行けないので、是非柳井に行って同じ空気に触れてみたい!E.
調べると想像を超えることばかりでわくわくします。福岡の彩色古墳群も是非訪れたいです。Cs