2017年 07月 27日
金魚ちょうちん 鈴木千登世
山口県の東を巡る小さな旅をした。
訪れたのは柳井。江戸時代は岩国藩のお納戸呼ばれ、明治以降も商業の町として栄えた町。白壁の町並みはどこか懐かしく、初めての場所でないような錯覚にとらわれる町。
町並みの店々の軒に吊されているのは金魚ちょうちん。
ありなしの風にゆらゆらと揺れる赤い金魚たち。
金魚ちょうちんは幕末の頃に、青森のねぶたをヒントにして作られたという。赤い色は伝統織物の「柳井縞」の染料の色。
愛らしい姿を目で追いながら通りを進むと、ひと際目を惹く金魚の群れ。
この金魚ちょうちんを広めたお一人の故河村信男さんの工房だった。中に入るとやわらかな笑みをたたえた河村さんの写真が飾られていた。
ちょうちん作りの体験ができるというのでお願いする。教えてくださったのは河村先生の奥様。
しゃきしゃきとして活気のある方。
目玉のまわりにくるりと朱を入れ、表情を…。
胸びれ、尾ひれに朱で模様を描いて、胴に貼り付けて完成。
風の通う奥の座敷で、お話を伺いながらの20分はゆったりくつろいだひとときでもあった。
目の周りがちょっと滲んでるけれど、自作の金魚ちょうちんは嬉しい!
毎年8月13日には「金魚ちょうちんまつり」が開かれ、柳井の町は賑わうという。夜には灯が点り幻想的な風景が広がるとも。金魚ちょうちんは迎え火でもあるのだろう。
南風(みんなみ)にしつぽの端をくすぐられ金魚ちやうちんくふくふ笑ふ
幾千の金魚ちやうちん灯る夜を黙ふかく戻る旅びとあらん
あかりが点った夜の賑わいを見てみたいな。
目を離してもカワイイのでは…と想像してみたら…河豚になっちゃいました~(>_<)やっぱり、プロの忠告は正しいですね。自作は、ちょっと疲れて充血した眼のちーさまご自身!?ごゆっくりお過ごしください。E.
迎え火の夜の幻想を想像してしまいます。賑わうのでしょうね。ちとせさん作、愛嬌たっぷりです。
素敵な写真、ありがとうございます。Cz.