2017年 05月 24日
井の頭の春 有川知津子
川瀬巴水に「井之頭の春の夜」という画がある。
数日前、アマゾンのロゴの入った箱が届いた。(アマゾンからではなかったけれども)
箱の中には、『巴水の日本憧憬』(2017年3月 河出書房新社)が入っていた。
画・川瀬巴水
文・林望
特別寄稿・川本三郎
この画文集は春夏秋冬という伝統的配列をもち、その1番目が「井之頭の春の夜」であった。
リンボウ先生の文章を引こう。
井の頭公園は、大正六年に開かれたとある。してみると、巴水がこの「井之頭の春の夜」
を描いた昭和六年三月三十日は開園してまだ十三年しか経っていない。なるほど、ここに
描かれた池畔の桜はまだ若木のようだ。(「絢爛たる静寂」)
桜は月光を受けて、水面に姿を映している。
この画のことはすっかり忘れていたので驚いた。
巴水は明治16年生まれ。茂吉は前年に生まれているが、白秋はまだ生まれていない。
ところで、井の頭。
月に一度詠草を送る井の頭。月に一度そこから歌誌がとどく井の頭。
「三鷹市井の頭」と書くと自動書記装置が作動し、
自然と「1-2-17」と書けてしまうのは私だけだろうか。
実桜は人なつつこく光りをり小林郵便局のほとりに
さりげないながらも、明確な白秋ファーストのちづりん、「白秋望景」読んでみたいです。E.