2017年 03月 08日
招霊木の花 有川知津子
「二月にいらっしゃい。花のころに――」
おもえば声はずっとこだましていた。
そうそうこの空気この感じ――。
モクレンの仲間にはめずらしい常緑樹の招霊木(オガタマノキ)は、
この季節にも、濃みどりの葉を茂らせている。
遅すぎたのだろうか。
あ――。
形や色に目がなれてくるとほつほつと浮かび上がる。
葉の形とも枝の形とも空の形ともちがう白いすがた。
「二月にいらっしゃい。花のころに――」
ありがとう。
来ましたよ。
今宵また思ひ出でつもをがたまの花をつつめる闇冷えをらん
*これは、昨年の11月16日に書いた
「どこのなんの木?」につづく文章です。
あわせてお読みいただけましたらしあわせです。
待っててね、オガタマ。散らないで!
春の陽に透ける葉脈と、際立つ輪郭が美しい。目立たない花を見つけてくれて、ありがとう。E.
晶子さん、続報ありがとうございます。ほんとうに高いところに花をつけていて、デジカメでは(わたしの持ってる程度の)なかなかでした。最大限にズームして撮るので、すこし動くとたちまち画面から消えてしまって。地面に散り敷いた花びら、それはまた素敵だったことでしょうね。Cz.