2017年 02月 14日
『歌壇』3月号 藤野早苗
900字というのはなかなか書くのが難しい長さで、冗長なことを言っているとたちまち尽きるし、核心を述べようと躍起になると、箇条書きのような、余裕のないカスカスなシロモノになってしまいます。
精一杯書いたつもりですが、さて…。
過日、「太母」という記事を当ブログに書いたのですが、あの文章が河野裕子という歌人の本質について書いたものだったのに対して、『歌壇』の方は、河野裕子を巡る家族の物語にフォーカスして書いています。
ご一読いただけると嬉しいです。
『歌壇』と言えば、高野公彦インタビュー、「ぼくの細道うたの道」。今回で10回を数えます。聞き手の栗木京子さんとの息もぴったり。『河骨川』『流木』のころのお話が中心になっています。テーマは老い。高野作品に匂い立つ老年のエロスについてのあれこれが面白いこと。
そして、噂の「天橋立だて音頭」がこのインタビューに掲載されています。それを歌い、踊るコスモスメンバー(小島なお、水上芙季、片岡絢のみなさま)の姿も。
歌壇賞受賞者の受賞第1作も意欲作でした。
大平千賀 影を映して
・疲れると痒がるあなた軟膏のうすき匂いの背中をさする
・舌に苔 運ぶ体をかばいあい夜の電車に人は眠れり
佐佐木頼綱 狩人の歌
・透き通る木漏れ陽ありて木々ゆらぎ蜂起せし人鎮圧せし人
・ゆつくりと誰かが生まれ変はつてるやうに香りてゐる桃の花
それから、ミスター編集室狩野一男さんの一連、「懸念の島」
・ああ端島〈ペンパイナッポーアッポーペン〉ぺんぺん草も生えずや否や
・康哲虎あなたは屹度学びゐむ「監獄島」としての端島を
昨年10月の長崎大会が思い出されます。康哲虎カンチョルホさんは、コスモスの期待の新人。パッキャオと世界戦を闘った元プロボクサー。注目株ですね。
特集「短歌の中に残したいことば」、なるほど、こういう企画いいですね。私は何を残したいのか、考えてしまいます。
小さくて、でも読みごたえ十分な、ゆかりさんのエッセイ、「私の時間術」。多忙なるゆえの効率的な時間の使い方、物事の優先順位などが、楽しく書かれています。まあ、ゆかりさんの忙しさは常人と比べるべくもないので、なかなか参考にはできませんが。
こんな感じで、今月も盛りだくさん。もう少し読んでから寝ようかな。
寝落ちする間際の際の間際まで『歌壇』のページめくる喜び
「天橋立だて音頭」知らなかった~。恐るべし東京歌会。ラップの元祖!?高野さんの遊びごごろ爆裂ですね。
早速明日買わねば。油断するとすぐ、無くなるんですよね。E.
どんなお顔をされて踊りを見ていらっしゃたのかしら、高野さんったらー。A
絵を描かれるだけじゃなくて曲も書かれるなんて!
コスモス社中って、どうやったら入れるんでしょう。オーディション制かしら。Cz.
歌壇3月号、ぜひ。S.