2017年 02月 12日
ニュージーランド2 大西晶子
8日間のツアー4日目に北島のクライストチャーチに泊まった。
2011年2月22日のマグニチュード6.3の地震で、語学研修に来ていた日本人の学生28人が亡くなった街だ。
「花の街」として知られる美しい街だと聞いたが、街の中心部に壊れたまま保存してある大聖堂がある。
上左の写真は保存されている壊れた大聖堂。
右は2013年8月に建てられた代わりの〈紙の聖堂〉の内部。
ここでは手を合わせ、亡くなられた震災犠牲者のご冥福を祈る。
〈紙の聖堂〉は文字通り直径60センチの防水・難燃加工された紙の管でできていて、シンプルで美しい。
日本人の建築家・坂茂(ばん しげる)という人の設計。坂氏は無料で設計されたという。
なんでも50年の耐久性があり、当初は10年間は使用する予定だったらしい。
ところが維持費が年に数千万円かかり、現在は市議会で問題になっているとか、せっかくの美談がなんだか、せちがらい話になってしまった。
クライストチャーチは花や木の多い街だ、街中にも広い公園や大きな樹々、花壇が多く、気持ちがいい。
左の写真のように木がとても大きいのは、日本とは木の種類
が違うのだろう。
公園には鳥も多い、そのなかの一つが右上の白い鳥、水を飲んでいたが、近づいてもすぐには逃げない。
日本の都鳥などに近い外見だけど脚は黒い、水掻きがあるので水鳥だろう。
下は、これも公園で見かけた黒い鳥。
公園の売店の女性に名前を訊いたら、「詳しい人に尋ねる」とどこかに訊きに行き、戻ってきて「黒い鳥(ブラックバード)」だと申し訳なさそうに笑顔で教えてくれた。
家人は笑っていたが、これはクロウタドリ、あるいはハゴロモガラスという鳥の正しい名称なのだ。
帰宅後調べてみたら、ヒタキ科のクロウタドリだった。
くちばしは黄色で、ヒヨドリくらいの大きさ。これまたあまり人を怖がらない。
その日の夕方北島のオークランドに飛行機で飛んだ。
その後で行った港にもカモメや水鳥が群れている。
近づいて来たのが鵜。(海に居たからウミウだと思うのだけど、どうでしょう?)
オークランドには2泊した。
半日ほど自由な時間があったので市の海洋博物館に行った。
ニュージーランドは移民の国なので、初期の移住者たちが乗った船の内部や港町の一部を再現した場所などがある。
なかなか凝っていて、二段ベッドのある部屋に足を踏み入れると、床が船のなかのように揺れていた。
19世紀や20世紀初頭の入植者たちは上の写真のように棚のベッドが並んだ船で、何カ月もかけてイギリスやヨーロッパの各地からやって来たのだ。
その下はニュージーランドで働くメイドを募集するポスター、イギリスで使われていたのだろう。
入植させようと夢、冒険心、射幸心をあおるような標語やポスターも展示されていた。
前日に一般家庭訪問というプログラムがあり、クライストチャーチの個人のお宅で、19世紀に入植した5代前からの家族関係を聞いたところだったので、よく理解できた。
現在のこの国の人口構成は、白人が50%、残りは先住民族のマオリ族の人たち、中国人、インド人などさまざまだという。
日本人も少しは居るとのこと。オークランドでの女性ガイドはマオリ族の人と結婚して当地で働いている日本の人だったし。
ところで、ところ変われば品替わるというが、お料理にも同じ名前で期待したものと違う場合があることに驚いた。そこで問題、右の写真のお料理の名前はなんでしょう?
オークランドのシーフード・レストランで、家人の注文したのがこれ。
答は前菜の「ムール貝のチャウダー」。
とろみのある白いスープの中に貝と野菜が沈んでいるものを想像して待っていたら、
黄色のさらさらの汁のなかに大き目の野菜と魚の切り身と一緒にムール貝が入っている。
「えっ、スープカレー?」という色だ。
四角の野菜はじゃがいも、オレンジ色は人参。
一口もらったら、あっさりして味は良かった。
私が注文したエビのカクテルも、グラスにエビがずらりと並んでいるはずが、レタスの器に盛った多量の刻んだエビ。これも美味しいけど、予想は外れ。味もカクテルソースとは違う。
同じレストランに行った連れの方達もそれぞれ、期待とはちがう料理に目をパチクリさせながら、でも美味しいので文句は言わずに召し上がって居られました。
オークランドは今、地下鉄工事中であちこち掘り返していて、通れない道路がある。
それを見ながら博多の道路陥没を言い出したのは、愛知県、滋賀県、大阪府からのツアー同行者。
みなさん、よく陥没の動画をご存知で。
変なことで有名になった福岡県と市だけど、その翌日の夜に無事に戻って来た。
少し長めの旅行からもどってきて、冷え切った家で「やっぱりわが家が一番おちつくー」なんて言い合い、これもまた旅の大きな楽しみだなぁとつくづく感じたのでした。
帰りきて石の寒さのキッチンで先づ湯を沸かす青き火をつけ 晶子
ついつい鳥たちに注意が集中してしまいましたが、どの鳥も警戒心が足りないのでは、と心配するくらい伸び伸びとしているように思いました。
逃げ方を知っている鳥と、飛び方を忘れ、外来種の哺乳動物に襲われ絶滅したモアのような鳥、ちょっと切ないです。 A