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白秋と白虹  有川知津子

1月25日は白秋の誕生日だった。白秋の干支は酉。今年、年男というめぐり。

以下、旧聞である。

さる11月27日(日)、寺井谷子さんの講演を聴く機会に恵まれた。以前ここで紹介した企画展の関連イベントで、演題は「女人高邁―俳人竹下しづの女の世界」。寺井さんがしづの女を語れば、父・横山白虹に触れてゆくのは自然のこと、どのエピソードにも気持ちが細やかに寄り添っていて聴き入った。

ニコよ! 青い木賊をまだ採るのか  白虹

そのうち話は俳号に及んだ。曰く、「白虹の白は、白秋の白。白虹の虹は、柳虹の虹」。

ん。あ? えええ~? ハッコーのハクはハクシューのハク ?!

――いかに不肖とはいえ、そう、そんなことも知らなかったのである。以来、そのことが気にかかっているようで、そうすると、いろんな資料が寄ってくる。

たとえば、『横山白虹の世界』(昭和俳句文学アルバム33、梅里書房)。これに所載の年譜の大正7年に「一高詩会を設立。川路柳虹、北原白秋の指導を受ける」とあった。写真も。

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もうひとつ、白虹自身が記した文章を引こう。

一高卒業の時に一高詩会の別れの会があったが、何か一言いただきたいという私に対して、白秋から〈やりたいと思うことは何でもやって、死ぬとき後悔しない人間になれ〉ということをいわれた。青春時代の感じ易い時期に貰ったこの教えは、以来、私に取りついて離れたことがないのである。(「わが来し方の記」、「俳句研究」昭和54年2月号)

ときに白虹20歳。このときの白秋の言葉が、終生指針になったというのである。この二人の交流は、歌人としての白秋側からぼやっと眺めるだけでは、見えてこないのだろう。白虹周辺の人には自明のようであったが、意外なところで白秋の名を耳にして、嬉しかったのである。

講話の中で、寺井さんは、俳句をつくる「覚悟」についてもお話しになった。その「覚悟」が足りない時代になったのでは、とこれまで考えてきたことを述べられたようだった。


以下、新聞である。

USB失せておそろし昨日今日フラッシュを浴びてくづほれる夢


〔附記〕前掲の「アルバム」に「本籍地山口県大津郡深川町(現在の長門市)」とあるのを見つけてしまった。横山家は代々長州毛利家に仕える士族であったとも書いてあった。


Commented by minaminouozafk at 2017-02-01 20:29
横山白虹、本籍地は私の故郷。知らなかった。白秋との関わりももちろん知りませんでした。ちづりん、ありがとう。気にかかっているとあれこれ集まってくるというのは面白かった。意識の流れですね。S.
Commented by minaminouozafk at 2017-02-01 21:59
ちづりんが真剣に取り組んだ、俳人竹下しづの女の世界。それも、これまで真剣に学ばれた白秋が呼び寄せたのかも。
常にアンテナを張り巡らせている姿勢、学ばねば~。E.
Commented by minaminouozafk at 2017-02-01 22:19 x
長門市の出身と知って親近感が湧き、あれこれ調べたくなりました。ニコは谷子さんですか?他の作品も読みたいです。「覚悟」短歌も一緒かもしれません。心に残った言葉です。Cs
Commented by minaminouozafk at 2017-02-02 00:33
白虹が山口にゆかりと知って、その点をちょっと強調したくなりました。「南の魚座」ですから。ニコは谷子さんの愛称です。愛らしい愛称ですね。アンテナ、あらぬ方を向いてますから、なおしてくださいね~。Cz.
Commented by minaminouozafk at 2017-02-02 06:24
はずかしながら、横山白虹はじめて知りました。白秋と白虹の関わり、山口出身いろいろな縁の不思議…ありがとうございます。N.
by minaminouozafk | 2017-02-01 05:37 | Comments(5)