2017年 01月 13日
朝日カルチャーセンター 大野英子
今日は本年度、朝日カルチャーセンターの講義第一回目。
鑑賞の時間は高野公彦の『無縫の海』六月に入る。
この年の六月は悲しい出来事が続いた。第一回のブログにも書いたが
母、宮英子氏、このブログ立ち上げのきっかけとなった辻本美加さんの亡くなった月。
6月の1ページ、1ページからその頃の思いが立ち上がってくる。まずは6日
「けふあすは誰も死なない真葛原」と詠みし晴子のけふは自死の日
この日は、東京での合同出版記念会の前日。私も歌集評のために出席の予定だったが、母の容態がすでに危ぶまれていた時で、行って良いものか迷っていた。
するとこの歌。晴子の自死の日なのだが〈けふあすは誰も死なない〉のフレーズが頭の中を駆け巡り、そうだ死なないんだ!と勝手に思い込んで出かけたのでした。
それから、11日後、母は亡くなった。
蛇足だが、高野氏で飯島晴子と言えば、現代短歌2013年10月の20首〈カピバラ以下〉のなかの<寒晴>といふ字のなかに晴子いて「冬泉」の句晶しく浮かぶ
が印象的に心に残っていた。この歌が気になって後日図書館へ行って調べた。俳人、飯島晴子第5句集『寒晴』「みなぎりて一塵を待つ冬泉」を見つけた。
詞書には「きょうは飯島晴子忌。かつて河出書房に勤めていた時、『現代俳句集成』の仕事で飯島さんにお会いしたことがある」とある。
愛のある一首だと感じていたのだが、やはりご縁のあった方だったのだと納得でした。
そして18日、「若き辻本美加さん病む」の詞書とともに
夏の宵酒間しづかに思ふかな福岡に病む天草びとを
美加さんも歌集『藍のひといろ』を出版され、7日の出版記念会に参加される予定だったのを欠席、12日に再入院したばかりだった。まさかこの一週間後に亡くなるなんて…
そして、その翌日26日には宮英子氏まで。
歌読めば人柄うかび、人見れば歌柄うかび、歌かなしもよ
これは27日、講師出前制度で福岡支部会に出席してくださった日の作品。高野さんは、宮英子氏の死をご存じの上に来福され、ご家族のご意向で、新聞発表まで言えなかったのだ。
福岡のみんなに黙っているのが、本当に苦しかったとおっしゃっていたことを、後日ゆかりさんから伺った。
講師講話のなかで、「良い歌を多く読んで体で覚える。大西民子、馬場あき子などがお薦め。宮英子さんは自由すぎるかな」と笑顔で語ってくださった裏に、「歌かなしもよ」の〈愛〉が有ったのかもしれない。
他にも思い出の多い歌も沢山ありますが、あとは「鑑賞」の時間に。
寒晴のゆふやけのなかことさらに亡き人々はかがやき放つ 英子
その後は、新年会!レディーストークで盛り上がり楽しい時間を過ごしました。Y.
今日、話ながら涙ぐんでしまいました。
高野さん、控室では疲れた表情でしたが、我々参加者には全開の批評を下さったお言葉が宝物です。E.