2017年 01月 03日
裡なる声に 藤野早苗
高速を上り方向に1時間走って着いた神社で用向きを済ませ、清々しい気持ちで帰ろうとすると、ナビ画面の高速下り方向は、福岡まで真っ赤になっている。大渋滞だ。午前10時、福岡目指して走る車の多いこと。この渋滞に巻き込まれたら、福岡到着は何時になるかわからない。さて、どうしよう…。
最寄りのインターに入り、いよいよ高速へ上がる瞬間、本来は右に切るはずのハンドルを左に切った。左は山口方面。あ!実家に行こう。嫁してより、年末年始に帰らなかったのは2度だっただろうか。今回が3度目…、のはずだった。いたしかたない理由があってのことではあったのだが、やはり高齢の母がひとりで年を越すのはさびしかったに違いない。渋滞に巻き込まれて時間を無駄に使うより、母を訪ねる方がいい。
(実家、玄関)
上り方向は全く渋滞無し。降ると言われた雨もぱらつく程度。快適なドライブを1時間余り楽しんだところで、実家に到着。ちょうどお昼時。母は台所で自作の御節を食べていた。
アポ無しでやってきた私に驚く母。でもそれ以上に嬉しい様子で、小皿に御節を取分けてくれる。黒豆、数の子、出汁巻、煮染め、懐かしい母の味。脚腰に不自由はあるものの、まだまだ元気だ。
いただいたお札を神棚に納め、その後2時間ほど話して、タイムリミット。夕方までには帰福しなければ。母と自撮り。84歳と54歳。2人とも変な顔だけど笑ってるからよし。
渋滞に会わず帰福。思いのほか、早く着いた。思いつきで動いてしまった1日だったけど、綿密な計画を立てて動くよりもずっと物事がスムーズに運んだ。不思議。
こういうことがよくある。閃きというのか、天啓というのか、スッと心に降りてきた思いには素直になった方がいい。降りてくる頻度は昔も今も多分変わらない。ただ、加齢による弛みが、ちょうどいい具合に降りてきたものを受け止められるようになったのではないかと思う。
頭ではなく、体感で決める年代になってきた。考えるのではなく、ただ裡なる声に耳を傾けること、それができればずいぶん楽に生きられるような気がする。今年、またひとつ年を取る。
アポ無しで来しをいつそう喜んでありがたきかなたらちねとふは 早苗
若い頃「やらずに後悔するよりやって後悔しよう」がモットーだったことを思い出した~(随分後悔したけどね)
ありがと。お母様の笑顔素敵です。E.
ところで、お父様の作られた布袋様の材質はなんでしょう、陶器ですか?いっしょに置いてある亀さんもお父様の作品かしら、可愛い。
早苗さんが愛されてお育ちになった感じがよく分かりました。A
早苗さんの創造の源はお父様譲りなのですね、きっと。 A