2016年 10月 11日
ブログ記念日
当ブログ「南の魚座 福岡短歌日乗」の開設は2016年8月11日。本日で2カ月を迎えます。ただただ勢いで始まったブログでしたが、メンバー6名と超優秀なセコンド、クリクリさんの頑張りで、毎日更新を継続中です。
ブログをご訪問下さる方々も増えているようで、本当に嬉しく思います。応援ありがとうございます。
私たち6名、初心を忘れないために、毎月11日を「ブログ記念日」として、1カ月の間に発表した短歌作品を中心に5首一連としてアップすることにいたしました。
メンバーそれぞれの作品世界を楽しんでいただければと思います。
これからも、「南の魚座 福岡短歌日乗」、ご支援いただけますよう、お願い申し上げます。
時の嵩 藤野早苗
ひさかたの天の羽衣持たざれど南の魚座指して はつしん
十三歳のわたしへ今のわたしより「生きてるだけで素晴らしいから」
終はらないはずだつたのに夏休みまばたきの間に過ぎてゆきたり
さらさらにいとほしき身とみづからを労ひながら縫ふ半襦袢
かなしみが美しくなる時の嵩教へてほしい真玉しら珠
木登り少女 大野英子
空に空に組まるる足場に動悸するわたしのなかの木登り少女
<博多パラダイス>と呼ばれし頃は豪華客船なくたひらなる港でありし
「みやせんせい」と口いづるときしあはせに溢れてゐたよ父のくちもと
初孫をついにみせざる兄とわれ法名塔の永久(とは)なる余白
父、兄と収まる写真はああさうだ母の視線と愛のただなか
サイコロキャラメル 栗山由利
若き日の母手作りのお手玉はをさなにやさしちよつと小さめ
数へ歌思ひ出せずに投げ上げたお手玉三つわが裡に落つ
遠足のキャラメルはんぶん妹に残し帰りしおさげのわたし
またひとつ思ひ出となり大粒のサイコロキャラメルほほばりしこと
赤白の箱のサイコロ転がして一人遊びのとほい雨の日
みのりのとき 大西晶子
黒蝶の翅がゆれをりかみなづき女郎蜘蛛の巣かぜに吹かれて
十月は女郎蜘蛛らの婚のつき花嫁衣裳の縞うつくしく
朝顔が紫蘇がみのりの季むかへわが庭種でみつみつとせり
脱皮してやがて羽化するやうな生信じてゐたり十二のころは
あさがほの小粒の真珠ほどの種いつか咲く日の藍色を秘む
祠の土 百留ななみ
リンゴ飴、メロンソーダの夏ありきハンミョウのうしろ日向を歩く
パソコンがなくてよかった息子らのゆるくてあつい自由研究
栗の木の梢の二つの青毬よ核ミサイルの行方いづくへ
蒼天のぎんなん揺らすみんなみの風のはたてに台風の生る
片足の斑猫が跳ぶ曇天の祠の土をたしかめながら
虹の碑 有川知津子
あららまあ新聞はまだとどきをり祖母の読みける長崎しんぶん
ふたいろの風交叉する夏の夕おとうとは蜘蛛を葉蔭にこぼす
やつてごらん この口癖のみなもとはあなたでしたか父の手をみる
啄木の罪をかぞへてざりつざりつ二十四人の歌会はなやぐ
屈折のうつくしさかな玉かぎるゆふぞらに立つ虹のいしぶみ
このブログの元となった思い出の小冊子「みなみの魚座」 すべてはここから始まりました。
クリクリさま、ユリユリさま、お疲れさまでした。ありがとうございました。